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「Amazon Echo」の成功を裏付けたIoT UXデザイン、3つの特徴スマートホーム分野で大ヒット(1/2 ページ)

IoT(モノのインターネット)デバイスの成功には、優れたユーザーエクスペリエンス(UX)が不可欠だ。プロダクトデザイナーは「Amazon Echo」から3つの重要な教訓を学べる。

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 IoT(モノのインターネット)で優れたユーザーインタフェースをデザインするには、「シンプルさ」「連携性」「価値付加」という3つの基本原則を満たすことが肝心だ。「Amazon Echo」はこの3つを全て体現している。

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音声アシスタント機能付きスピーカー「Amazon Echo」《クリックで拡大》

 Consumer Intelligence Research Partnersによると、Amazon Echoは2014年11月の発売以来、400万台以上が販売されている。発売当初を知るAmazon社員は、Echoは先行予約が100万台に達するのに2週間もかからなかったと報告している。Slice Intelligenceによる別の調査では、2015年第4四半期のEchoの販売台数が、第3四半期比で342%も伸びたことが分かった。これらの数字は注目に値する。スマートホーム分野全体はあまりぱっとしないことを考えればなおさらだ。

 Amazon Echoはスマートホーム分野で突然ヒットし、2016年には一気にメインストリームに躍り出たといえるが、その理由はたくさんある。まず、Echoは、「実店舗で営業する小売業者を打ち負かし、インテリジェントなソフトウェアアプリケーションで、個々のユーザーに合った利便性を提供する」というAmazonの戦略を自然に拡張したものだからだ。さらに、Amazonは潤沢な資金を持っているため、多くの試行錯誤が可能で、優秀な人材も獲得しやすいからだ。

 だが、以下ではAmazonよりもAmazon Echo自体を掘り下げて見てみよう。Amazon Echoが成功した本当の理由、あるいは少なくとも、高い将来性を持つ本当の理由は、効果的なIoT UXデザインの最も重要な3つの要素を体現していることにある。

IoT UXデザインの教訓1:とにかく使いやすい

 消費者向け製品を手掛ける企業の多くは、製品のコネクテッドバージョンを複雑にし過ぎてしまうという重大なミスを犯す。画面上のボタンが多過ぎたり、作業を完了するためのタップのレベルが多過ぎたり、アプリの機能が多過ぎたり、センサーが多過ぎたりといった具合だ。バッテリー持続時間の短さを正当化しようとしているかのようだ(が、正当化できるほどの価値はない)。

 効果的なコネクテッド製品開発の最も基本的なステップは、シンプルなIoT UXとUIを構築することだ。

 音声アシスタント機能付きスピーカーであるAmazon Echoは、平均的なポータブル音楽プレーヤー(スリムな円筒形で、ライトと1〜2個のボタンが付いている)と似たり寄ったりに見える。だが、Echoが優れているのは使いやすさだ。音声認識や音声応答が可能な初の製品ではないが、Echoはユーザーが(大抵は)言い直すことなく、話しかけて操作できるデバイスだ。

 確かにこのデバイスのアプリもあるが、タップ、ピンチ、スワイプは2次的な操作モードであることが、既存の音声対応製品からEchoを際立たせている。端的に言って、Echoは、他のどのスマートホームデバイスよりも使いやすい。また音声操作機能は、高齢者や、特別なニーズがある人、子ども、あるいは前方を見て両手を空けておきたいか、そうする必要がある人にとって、アクセシビリティの向上につながる。

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