Oracle幹部が語る
「チャットボット」の課題は標準化、乱立するフレームワークはどこに向かう?
チャットボットの人気を背景に、競合するアプリケーションフレームワークが相次いで登場している。Oracleは業界標準への準拠が、断片化や非互換問題の防止につながると考えている。
チャットボット(音声またはテキストによる人間の会話のやりとりをシミュレートするソフトウェア)の普及拡大に伴い、アプリケーション開発者にとっては、専門知識やノウハウを身に付ける必要がある分野がまた1つ増えた。今ではチャットボットを開発するための十数種類のフレームワークが提供されており、競争が機能や適用範囲の急速な拡大を促している。
チャットの技術プラットフォームを提供している企業の1つが、データベース大手のOracleだ。「Oracle Cloud Platform」の統合製品担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるアミット・ザベリー氏に、同社のポジショニングなどについて話を聞いた。
――Oracleから見て、チャットボット技術の現状はいかがですか。欠けている要素や、まだ十分に成熟していない要素としてどのようなものがありますか。
ザベリー氏 多くの技術が組み合わされ、チャットボットの自然言語対話を実現しています。チャットボットはインスタントメッセージング(IM)ツールに統合することもできます。欠けているのは標準化です。フレームワークが乱立し、チャットボット技術の断片化が起こっています。この技術は集約化により、さまざまなプラットフォーム全体にわたって、より明確に定義できるようにならなければなりません。
――Oracleのチャットボットへの取り組みでは、人工知能(AI)はどのような役割を果たしていますか。
ザベリー氏 Oracleは新しい技術、言語、クラウドネイティブな開発環境を基に、現代的な手法で開発するための機能を提供します。そして、センサーやシステム、モバイルデバイスなど、全てを統合する戦略です。これらを全て実現するために、われわれは、AIや機械学習の機能とモバイルフロントエンドに対応したプラットフォームを構築しました。現在、チャットボットを使ってそれらのインタフェースやエクスペリエンスを強化しています。
――AIやチャットボット技術はOracleのアプリケーションでどのように使用されているのですか。
ザベリー氏 われわれはAIや機械学習のアイデアに沿って、“スマートアプリケーション”を提供してきました。長年にわたって、機械学習アルゴリズムやAIシステムをわれわれのデータベース、管理製品に加え、アプリケーションに組み込んできたのです。スマートアプリケーションでは、「収集されたデータが全て利用されるかどうか」「ユーザーのためにどの情報が要求されるかをどう予測するか」「何が欠けていて、何が必要とされているかをどう判断するか」といったことを徹底的に分析してきました。その蓄積を基に、顧客行動の予測が可能になっています。われわれはエンドツーエンドのスマートアプリケーションを構築し、データクラウドで提供しています。このクラウドでは、ターゲットに応じてパーソナライズされたマーケティング、商取引、分析ができます。こうした機能が利用できるようになっています。
――Oracleはチャットボットフレームワークを持っています。Microsoftもそうですし、Amazon Web Services(AWS)やFacebook、Googleもです。そのために十数種類もフレームワークがあります。われわれは、何年も前にさまざまなUNIXのバリエーションで見られたような断片化や非互換の問題に直面することになるのでしょうか。
ザベリー氏 そうならないことを心から願っています。ある程度の断片化は常に存在します。さまざまな実装やフレームワークがあり、開発者はどれを使うか決めなければなりません。ですが業界は進化しており、相互運用性や一貫性の必要性を認識しています。Oracleを含むチャットボット技術の全てのプロバイダーが、「業界標準に準拠し、コミュニティーに貢献し、協力してさまざまなシステム間の連係を実現し、この技術を活用しやすくするかどうか」を問われているのです。
――そう考える企業がOracle以外にもあるということですか。
ザベリー氏 チャットボット技術についていえば、われわれは数社のメッセージングサービスプロバイダーと協力し、「Facebook Messenger」や「WeChat」などとの統合や相互運用を可能にしています。
――ユーザーはフレームワークを気にせずに済みますが、開発者はそうはいきません。開発者にアドバイスはありますか。
ザベリー氏 開発者がフレームワークを気に掛けるのは分かります。われわれのチャットボットはAPIの実装です。これを統合する場合、実装の詳細を事細かく気にする必要はないでしょう。インタフェースがクリーンで、明確に定義されていて、チャットボットやモバイルインタフェースで何を得ようとしているかが分かっていれば大丈夫です。アプリケーションを書き換える場合も、APIセットを使って書くことに変わりはなく、他の部分は一切書き換える必要がありません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
4
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
5
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
-
6
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
7
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
8
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
9
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
10
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー