オープンデータ活用事例
スウェーデンがMinecraftで都市計画、先行してMinecraftを導入したデンマークは……
スウェーデンの国土測量庁は、スウェーデンの地図をMinecraft用に変換して公開した。このMinecraft用の地図データはさまざまな形で活用されている。
2015年12月、人気の箱庭ゲーム「Minecraft」用に、スウェーデン全土の実際の地図データが公開された。プレイヤーは誰でも、このデータを使って自分の世界を構築することができる。
Minecraftで利用できる国土全域の地図を公開したのは、スウェーデン政府で国土測量の実施・監督に当たっている国土測量庁。この施策によって、特に若年層の間で地理空間情報とオープンデータに対する関心が高まることを狙っている。
「地図をオープンデータとして提供するサービスを計画していたとき、Minecraft向けに公開することを思い付いた。上司に提案し、承認されたので実行に移した」と、国土測量庁で事業開発を担当するボボ・ティドストロム氏は、本誌Computer Weeklyに語った。
2015年8月、ティドストロム氏が同庁の意向をMinecraftのスウェーデン国内担当部門に伝え、その4カ月後にスウェーデン全土および地方自治体290カ所の地図が公開された。「政府機関としては非常に迅速に施策を実行できたと考えている」と同氏は胸を張る。同庁でこの施策を担当したのは少人数のプロジェクトチームで、地図データをMinecraftで利用可能な形式に変換する作業は、FME(Feature Manipulation Engine)マッピングツールが使える外部のコンサルタントに依頼した。
公開された地図データは、これまでに1万9000回ダウンロードされている。ただしティドストロム氏は、このプロジェクトの成果や地図データが、さまざまな分野の他プロジェクトで利用されていることを確認している。そのため、地図データの実質的な普及度は、実測値であるダウンロード回数よりもはるかに大きいと考えている。例えば(スウェーデン北部の都市)キルナ市では、将来の都市計画を設計する学校対抗のコンテストが開催されているが、そこでもこのデータが使われている。
「Minecraftは今や、地方自治体や各種団体に導入され始めている。実際の都市開発計画を進めたり、その計画案について市民と対話したりするためのツールとして使われていることにわれわれは驚いた」と、ティドストロム氏は語る。「(Minecraftなら従来の2次元の地図を)簡単に3Dイメージに変換することができる。こうすれば、一般の人々も昔よりずっと簡単に、自分の町の客観的なイメージを確認できる」
このプロジェクトには40万クローネ(3万6000ポンド)の費用が掛かったが、ITコミュニティーからの称賛を受け、さらにはIDG(International Data Group)が毎年選出する「Swedish CIO Award」において、年間最優秀デジタルプロジェクト賞(Digital Project of the Year)を受賞した。
実は、実際の地理データに基づいて国土をMinecraft上で再現した政府はスウェーデンが初めてではない。デンマークとノルウェーも、過去に同様のプロジェクトを実施している。ただしティドストロム氏に言わせれば、スウェーデン国土測量庁が公開したデータは、道路、湖から森林、牧草地に至るまでのデータの粒度において、近隣諸国のものに一歩先んじているという。
国土測量庁はデンマークの先例をベンチマークとして利用した。「デンマークは、プレイヤーがログインして遊べるオープンなサーバを開設してそこでデータを公開した」とティドストロム氏は説明する。「すると深刻な問題が発生した。プレイヤーがサーバ上の住宅を解体したんだ」
そこでスウェーデンは異なる提供方法を採用した。
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