Amazonが仕掛ける、次世代の小売り向けAPIとは:実店舗向けアプリ開発者に福音
Amazonによる137億ドルでのWhole Foods買収を巡り、アナリストが注目しているのは主に小売りの側面だ。一方でこの買収は、小売業向けアプリケーションの開発者に変化をもたらす可能性がある。
Amazon.comによる自然食品小売り大手Whole Foods Market(以下Whole Foods)の買収を巡っては、Amazonのオンライン小売り事業に新たな流通チャネルが加わるという点ばかりが注目され、重大な可能性が見過ごされている。それは、小売り向けユーザーインタフェース(UI)を備えたアプリケーション開発に向けたアプリケーションプログラミングインタフェース(API)が、Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービスの開発者に公開されることだ。
今回の買収は、開発者による全く新しいインタフェース様式の利用を可能にすることが期待できる。そのインパクトは、音声認識UI「Alexa」よりも大きくなる可能性さえある。AWSは今後1年の間、商品配送や支払いといった、物流業務の最適化と合理化に役立つサービス開発に注力すると考えられる。AWSは今後、こうしたサービスの早期導入者に基本機能を安全に提供しながら、注文ミスやプライバシーの問題など、物流に潜む不具合を解消していくことになるはずだ。その過程は、Alexaやボタンを押すだけで日用品が届く「Amazon Dash Button」とほぼ同様である。今回の場合、IT利用の進んだ地域でスマートデバイスを利用する世帯が早期導入者となり得る。
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Amazonの実店舗進出についてもっと詳しく
小売り向けアプリケーション
AmazonによるWhole Foodsの買収は、消費者がAmazonなどの小売り業者を利用する方法にパラダイムシフトをもたらす可能性もある。1970年代にバーコードが登場して以来、小売り向けUIはほとんど進化していない。同社は今後、実店舗を利用する顧客体験の改善や、製品へのフィードバックの充実、マーケティングのチャンス拡大、新たなパッケージング戦略の推進など、消費者や企業のニーズに合わせた多様な小売りアプリケーションの提供に注力するだろう。そうした新しいアプリケーションの例を幾つか紹介する。
スマートレシート
買い物のレシートは、印字された紙から電子メールに“デジタル化”を遂げた以外の点では、ほぼ進化していない。そのため消費者は、レシートを見るだけでは個々の購入品の詳細までは分からない。
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