2つの方法を比較する
「Raspberry Pi」が最適? IoTゲートウェイのプロトタイプ作成方法を比べる
IoT活用の第一歩はIoTゲートウェイのプロトタイプ作成から始まる。ここではプロトタイプ作成のための一般的なアプローチを2つ紹介する。
IoTを活用する上でゲートウェイは重要な役割を果たす。複雑な環境で複数のエンドデバイスを管理し、デバイスからデータを収集して分析し、集めたデータをクラウドに転送するという役割だ。自社のIoT活用においてこれらの要件をどう満たすかの判断は、重要な第一歩となる。その判断にはプロトタイプが有効だ。実際、私はよくプロトタイプ作成の最適な手法について尋ねられる。プロトタイプには格安の超小型コンピュータ「Raspberry Pi」とその他の本番用製品のどちらが適しているかという質問だ。電源や接続や外見など、各プロジェクトに固有のニーズによって、その答えは異なる。
そこで本稿では、IoTゲートウェイのプロトタイプ作成のための2つの一般的なアプローチを紹介する。1つはRaspberry Piを使った方法、もう1つは本番用の完成品を使った方法だ。いずれも、スケーラブルでコスト効率の高い量産という目標を念頭に置いている。
Raspberry Pi
強力なコミュニティーを持ち、基本的な接続機能を手頃な価格で提供してくれるRaspberry Piは、プロトタイプ作成に非常に適した方法となり得る。
電源
IoTゲートウェイを考える上で給電は極めて重要な要素だ。特に昨今は多くの商業ビルが、イーサネットケーブルで電力を供給するPower of Ethernet(PoE)を導入している。イーサネット配線は電圧が低く、設置が容易だ。PoEはコンセントから給電するより安価なので、コスト削減効果も期待できる。残念ながらRaspberry PiはPoEに対応していないが、PoEアダプターを追加すれば問題はない。
接続
第3世代のRaspberry Pi「Raspberry Pi 3」はWi-FiとBluetoothの両方を標準搭載する。ただしデータの転送量が多すぎると、Wi-FiとBluetoothが干渉を起こす可能性がある。例えば省電力型の無線通信規格「Bluetooth Low Energy」(BLE)を使ってセンサーデータや位置情報を発信している近くのデバイスをスキャンするシステムの場合、Wi-Fiがクラウドにパケットを送信するたびにデータ受信が中断されることになる。セルラー接続が必要な利用場面であれば、Raspberry PiにUSBモデムをつなぐ必要がある。「BLE 5」「Thread」「ZigBee」などプロプライエタリなメッシュ通信プロトコルを利用する場合は、さらにドーターカードが必要だ。
外見
プラグやコネクターやマザーボードがむき出しのRaspberry Piが、地元のレストランや小売店に置かれている状況を想像できるだろうか。幸いRaspberry Piは人気が高く、ケース類を見つけるのは簡単だ(ただし大半はホビイスト向け)。私の経験では、企業はケーブル管理用の設計要素を備えた、洗練されたデザインのIoTゲートウェイケースを好む。壁掛けか天井取り付けかを選択できることも重要なポイントとなる。
完成品のゲートウェイ
完成品のIoTゲートウェイについても同じく3つの観点から評価する。
電源
本番用のIoTゲートウェイは多くの場合、PoEなど商業レベルの人気機能を搭載する。昨今、多くの商業ビルは、設置が容易でコストを抑制可能なPoEを好んで導入している。メリットはこれだけではない。無線アクセスポイントの多くはスイッチにバックアップバッテリーを内蔵しているので、同じスイッチを使用すれば停電時でもIoTシステムの動作を継続できる。
接続
接続は、本番用のIoTゲートウェイが本領を発揮する分野だ。例えば一部のIoTゲートウェイは2.4GHz帯と5.8GHz帯のWi-Fiをサポートし、セルラー接続の選択肢も提供する。転送データがどれだけ多くても、互いに通信時間を奪い合うことなく、スムーズな転送が可能だ。さらに本番用の主要なIoTゲートウェイは、BLE 5やThreadやZigBeeの他、各種のプロプライエタリなメッシュ通信プロトコルをサポートする。そのため、IoTゲートウェイの設計製作に必要なエンジニアリングリソースは少なくて済む。
外見
プロフェッショナルな見た目を重視するなら、本番用の完成品を選ぶといい。本番用のIoTゲートウェイはケーブル類が見えないようになっており、通常は壁掛けか天井取り付けかを選択できる。またほとんどの場合、製品は箱を開いてすぐに設置できる状態でユーザー企業に直接出荷される。主要ベンダーの製品であれば、外見のカスタマイズにも対応しており、会社のブランドカラーなどに合わせることが可能だ。
結局のところ、IoTゲートウェイのプロトタイプにRaspberry Piと本番用製品のどちらを選ぶべきかの判断は簡単ではない。Raspberry Piの欠点の大半は、不足要素を追加することで解消可能だ。ただし要素を追加すれば、その分、時間とコストは余計にかかる。一方、本番用のゲートウェイは人気の機能を多数備える。ただし逆にいえばこれは、不要な機能にまでお金を払うということでもある。自社にどちらのアプローチが向いているかを効果的に判断するためには、スケーラブルでコスト効率の高い量産という最終目標を踏まえ、そこからさかのぼって自社のニーズに合った適切なゲートウェイを探すしかなさそうだ。
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