検索
特集/連載

高性能と高機能は両立する? 過熱するNVMeストレージ開発競争ストレージコントローラーの負荷対策

ストレージコントローラーがボトルネックになり、NVMeの性能が生かせない。この問題の解決を目指すストレージベンダー各社の最新動向を紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena
Computer Weekly

 NVMeソリッドステートアレイメーカーのVexataが、NANDフラッシュやIntelの「3D XPoint」を搭載したNVMe製品群をリリースした。同社によれば、この製品はベアメタルに近い(数十マイクロ秒の)ストレージ入出力パフォーマンスを実現するという。

Computer Weekly日本語版 11月1日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 11月1日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 この製品は、SSDストレージアレイの「VX-100」、アプライアンスの「VX-Stack」、そしてソフトウェア定義ファブリックの「VX-Cloud」から成る。VX-100は、NANDフラッシュあるいはIntelの3D XPoint製品「Optane」を搭載する。VX-Stackは「Microsoft SQL Server」やOracle製品、SAS製品などの特定のアプリケーション用に調整されている。

 VexataのアプローチによるNVMeの実現方法は2つある。1つはコントローラーOSの「VX-OS」を使用する方法。もう1つはコントローラーとストレージメディアのブレードでCPUを使用する方法だ。

 同社の創設者兼CEOのザヒッド・フセイン氏は次のように語る。「VX-OSは、コントロールの経路とデータの経路を分離する。VX-OS Controlは、(組み込みの)VX-OS Routerをプログラミングし、複数のストレージモジュールに入出力を分散するインテリジェンスを提供する」

 このようにして、デュアルコントローラーのCPUは多くの入出力処理を回避する。こうした入出力がストレージブレードのCPUにオフロードされため、ストレージブレードは筐体当り合計で4〜16台になることもある。バックエンド接続は、イーサネットのリモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)を介して行われる。RDMAはメモリの高速化を目的に構築されている。

 Vexataによると、必要な処理にCPUリソースを割り当て、効率の高い運用環境を適用するという。その結果、Optaneを採用したVX-100の遅延は40マイクロ秒、SSDを採用したVX-100は220マイクロ秒となり、ランダムIOPS(1秒当りの入出力回数)は700万回に及ぶ。

 現在、NVMe製品を提供する企業は、パフォーマンスを低下させる可能性のあるストレージコントローラーを提供しながらも、NVMeの驚異的な速度を有効活用する方法を探っている。

 VexataはエンドツーエンドにはNVMeに対応していないが、エンタープライズストレージ機能を提供する。「当社は、スナップショット、クローン、暗号化、アクティブ/アクティブ構成のコントローラーなど、エンタープライズストレージに求められる機能を提供している。最新メディアを使用したのは偶然にすぎない」(フセイン氏)

 同氏によると、これを実現する鍵となるのがVX-OSだ。VX-OSは、コントローラーとブレード上の多数のCPUで実行される分散型OSで、入出力のスケジュールを設定し、クエリを管理する。さらには、ログファイルへの書き込みや大きなブロックでの書き込みを中断して、読み取りと書き込みのスケジュールを設定する。

 「鍵となるのは、コントロールの経路とデータの経路との分離だ。つまり、コントローラーCPUを通過するデータ全てに対応する必要はない。また、VX-OSはカーネルスイッチがないLinuxのユーザー空間で実行される。これはロックを必要としないアーキテクチャで、CPUコアを最大限に活用する」(フセイン氏)

エンタープライズストレージ機能の保持

 Vexataは、エンタープライズストレージ機能を保持しながらも、NVMeフラッシュ(または3D XPoint)によって向上するパフォーマンスを活用しようと考える多くのストレージアレイメーカーの1社だ。では、他社はどのようなアプローチを考えているのか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る