モバイル端末管理(MDM)が必要なシンプルな理由:モバイル端末管理最新トレンド(前編)
エンタープライズモビリティー管理とモバイル端末管理の市場は成長を続けている。管理されることを嫌う従業員をどう納得させるか。そして、モバイル端末を管理すべきトレンドとは何か。
この10年ほどで、大企業でもモバイル端末を業務で利用する傾向が顕著になってきた。最近ではむしろ、顧客やステークホルダーにとっての自社の魅力を維持する方策や作業環境構築の面ではモビリティー(モバイルデバイスを利用しやすい環境かどうか)が最優先で考慮されるまでになった。
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ハイテク分野専門の市場調査会社Radicati Groupのレポートによると、エンタープライズモビリティー管理(EMM)市場は全世界合計で、2017年末までに18億ドル(約2050億円)規模となる見込みだ。この数字は2021年末には33億ドル(約3750億円)にまで伸びると予測されている。すなわち、今後4年間の年平均成長率は18%のペースで拡大することを示している。
調査会社IDCの「Enterprise mobility management software forecast, 2017-2021」(エンタープライズモビリティー管理ソフトウェアに関する予測2017〜2021年)によると、ヨーロッパ、中東、アフリカ(EMEA)市場で、EMMソフトウェアは2017年の5億6580万ドル(約640億円)から、2021年には8億3990万ドル(約960億円)に成長する見込みだ。この場合、年平均成長率は8.2%となる。
また、Forrester Researchが実施した私用端末の業務利用(BYOD)についての調査「Best practices for securing and empowering a mobile workforce」(職場でのモバイルデバイス利用の安全性確保および権限委譲のベストプラクティス)によると、情報ワーカーの70%は週1回以上、業務でスマートフォンを使用している。その際、49%は勤務している企業が認定したものから選んだり支給されたスマートフォンを使ったりするのではなく、私物の端末を選択している。
モバイル戦略において自社の優位性を維持したいなら、企業は常に追い掛けていなければならないトレンドが、現在幾つか存在する。
EMMのトレンドの中で最も影響が大きいのは、端末の信用に関するものだ。だから、端末が使用している信頼関係の仕組みに対する認定を提供していると話すのは、認証関連サービスを提供している企業、Oktaのエンタープライズモビリティー部門責任者、マイク・パイコ氏だ。
「Box」や「G Suite」などのクラウドアプリ(が扱うデータ)に機密性の高い情報が含まれる場合、ITリーダーは、そのアプリにアクセスしたことがある端末が自身の管理下にあり、かつその企業のセキュリティ基準を満たしていることを保証しなければならない。ここでいう端末とは、デスクトップPC、ノートPC、携帯電話のいずれかが含まれる。
モビリティー管理ツール
ユーザーはまず、自分の端末をモビリティー管理ツールに登録する。その端末が「信頼」されて初めて、ユーザーはアプリケーションにアクセスできるようになる。「これはセキュリティ上、非常に優れたプロセスで、機密性の高い社内アプリへのアクセスを、マネージドデバイスを持つユーザーだけに確実に与えることができる」と同氏は説明する。
「信頼」はBYODにおいても一定の役割を果たす。職場でBYODを実践する人は増える傾向にあり、自社の従業員でなくサードパーティーの派遣社員やパートタイムならばなおさらその傾向は顕著になるからだ。
「(私用と業務用で)携帯電話を2台持つことを好むワーカーは多くない。しかし今なお、そんなやり方を継続している人は多い。従業員は、自分の個人情報にアクセスされては困ると考えているからだ」と、モバイルアプリ管理製品メーカーApperianのマーク・ロリオン社長は指摘する。モバイル端末管理(MDM)のサプライヤーはこのような、MDM利用の観点からすると逆風の傾向が強まっていることに対応しようとしている。すなわち、ユーザーは最初にモバイルポータルをダウンロードするが、雇用者にその端末を制御されることはない、という仕組みだ。「ただし、ユーザーが社内データへのアクセスを望む場合は、その端末を社内の管理システムに登録しなければならない」と同氏は説明する。
エッジとしてのモバイル
東芝で北欧地域のB2Bクライアントソリューション事業部長を務めるニール・ブラムリー氏によると、MDM関連で本格的な影響力の兆候が見えている1つのトレンドがあるという。
続きはComputer Weekly日本語版 11月15日号にて
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