AI(人工知能)の意思決定はブラックボックス、それでも機械を信じる?:われわれの向かう未来(1/2 ページ)
数ある人工知能(AI)の中でも、機械学習は特に進化の可能性が大きい。われわれは、どこまで機械を信頼できるか、試されることになる。
AIについての論議は、現在のロボットの世界から始めるのが最も分かりやすい。それほどの影響力を持たない場面では、猫ロボットや床掃除ロボットのRoombaがいる。Domino'sはピザ宅配ロボットの実験を行い、サンフランシスコでは街を巡回する新型防犯ロボットの実験まで行われている。
もっと実用的な例としては、自動車を挙げることができる。狭い場所でも自動で駐車でき、人間より速く反応して制動をかけ、車線をはみ出せばハンドル操作を正してくれる。間もなく自動運転も可能になりそうだ。また、自動運転であるかないかにかかわらず、現在の自動車はロボットを使って製造される。Amazonは注文処理にロボットを使い、爆弾はロボットを使って不発処理される。そうした事例は挙げればきりがなく、今後も増え続ける。だが、全てのロボットが人工知能(AI)を使っているわけではない。全てのAIが非常に賢いというわけでもない。
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AIの基礎を知る
まず人工知能の種類を定義しよう。私たちのほとんどは、AIを開発しているのは非常に優秀な開発チームだと思っている。私たちは、そのチームが機械に対して特定の状況、あるいは数百、数千もの状況における行動を学習させていると信じる。実際に、現在の自動運転車で起きていることは、そうした状況に近い。車を運転するコンピュータに次から次へと状況が記録され、そうした状況に対する解決策がプログラミングされる。時間の経過に伴ってさらに多くの状況が発生し、その解決策も蓄積される。この事例では、機械は自律的に学習しているのか、それとも人間の開発者チームが学習した知識を機械に提供しているのか。私は後者だと思う。現在使われているロボットの大半は、この種の人工知能が大部分を占める。限られた数の状況と、事前にプログラミングされた反応は、魔法のように思えるかもしれない。だが、これは機械学習ではない。人間が学習して、新しい知識を機械に注ぎ込んでいるにすぎない。
極めて単純に言うと、機械学習は、その機械が利用できる既存の知識源を全て使って自ら結論を導き出すことで発生する。人間と同じように、機械がより多くを学習し、自分の「意見」が正しいかどうかを経験データに基づいて判断する中で、その結論は時間の経過に伴って変わることもある。
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