「RPAは必ず仕事を効率化できる」とは言い切れない理由:RPAのメリットと注意点を解説
コスト削減の手段として「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)に注目する企業は少なくない。確かに適切な導入戦略と環境があれば効果を発揮するが、RPAは決して魔法のつえではないことを認識すべきだ。
時間の節約は、お金の節約になる。コスト削減を目指していない企業は、まずないだろう。現在、企業がコストを抑える方法として、急速に導入機運が高まっているのが「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)だ。RPAは、通常は人が手作業で実施している大量かつ一般的な日常タスクを、botを使って実行することを指す。機械学習をはじめとするAI(人工知能)技術も活用し、人の労働者を模倣する。効果的なRPA戦略の展開が、企業にとって重要な課題となりつつある。
RPAの背後にある技術や考え方は、決して新しくはない。AI技術への注目が高まる中、RPAもこのところ脚光を浴びている。「RPAソフトウェア市場は、ここ数年で急激に成長している」と、調査会社Gartnerのディスティングイッシュドアナリスト、フランシス・カラモウジス氏は指摘する。
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「RPA」と他の技術との違い
成長産業となったRPA
Gartnerが2018年8月に公開したウェビナー「Robotic Process Automation(RPA)Growing Pains & Realities」で講演したカラモウジス氏は、「ここ3年程度のRPA市場の推移を見ると、1億ドルに満たなかった市場規模が推計7億5000万〜10億ドルに拡大している」と述べた。これは、ソフトウェア製品のライセンス売上高のみを集計した数字だ。RPAの普及率も上昇しており、特に人事や財務などの分野で顕著だという。
カラモウジス氏によると、現在、70社程度のソフトウェア会社が何らかのRPA製品を提供している。その中には大企業も数社含まれるが、大部分は小規模な企業だ。このことは「ベンダーを調査し、自社のRPA戦略を策定する際に考慮すべき点だ」と、同氏は説明する。
今後数年の間に一部のベンダーが買収されたり、RPA分野から撤退したりして、業界の整理統合が始まると、カラモウジス氏は予想する。RPAへの取り組みを始めようとしている企業は、さまざまなベンダーを徹底的に調査する必要がある。さもないと投資したソフトウェアが他ベンダーに買収されて、変更が加えられたり、長期サポートが受けられなくなったりする恐れがある。
先を見越した計画が重要に
RPA戦略の策定を始めるときは、自社のニーズや目標を踏まえることが重要だと、カラモウジス氏はアドバイスする。RPAから価値を得る方法は「幾通りもある」(同氏)からだ。自社がビジネスで何を目指しているか、どの部門がRPAから最も利益を得られるようにするかを、前もって考えておくことが重要になる。
カラモウジス氏によるとRPAソフトウェアは、通常であれば迅速に展開できる。ただし実行される自動化機能の数は、当初は比較的少なく、時間とともに増えていく傾向がある。こうした変化は、エンドユーザーがソフトウェアに対してタスクを実行するよう教育し、プロセスを改善することで起こる。
IT製品の導入担当者はこのことを考慮に入れ、ベンダーとの間で「RPAソフトウェアが実行するタスクを後で増やしても、追加費用は発生しない」という取り決めを交わすことを目指すべきだ。
RPAのメリットには、
- エラーの削減
- 処理の繰り返し時間の短縮
- 日常タスクからの解放による従業員の生産性向上
- コスト削減
が挙げられる。
ただしRPA戦略の策定時には、考慮すべき潜在的な問題も幾つかあると、カラモウジス氏は警告する。
RPAの限界
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