VDIとDaaSの技術進化
Microsoft「Windows Virtual Desktop」が示す仮想デスクトップの未来とは
Microsoftが2018年に発表した「Windows Virtual Desktop」は、クラウド時代の仮想デスクトップとして大きな進歩を示している。
あらゆるテクノロジーがクラウドの影響を受けている現在、仮想デスクトップもその例に漏れない。関連する管理インフラストラクチャも新しいアーキテクチャへの移行を支えている。
Microsoftが新しく提供を開始したWindows Virtual Desktopは、クラウドネイティブの仮想デスクトップ「Remote Desktop modern infrastructure」(RDmi)に基づいている。Windows Virtual Desktopは「マルチユーザーWindows 10エクスペリエンス」と呼ばれるWindowsの機能を提供する。
これらが発表されたことは、仮想デスクトップインフラ(VDI)とDaaS(Desktop as a Service)市場の大きな前進となる。
Microsoftは2017年、年次イベント「Microsoft Inspire」でRDmiを発表した。RDmiでは、Windows Serverで実行していた「リモートデスクトップセッションホスト」の役割(「RD接続ブローカー」「RD Webアクセス」「RDゲートウェイ」など)を「Azure Web Apps」の同等サービスに置き換えた。
RDmiではリモートデスクトップの刷新も進め、仮想ネットワークによるワークロードの分離、「Azure IaaS」によるワークロード仮想マシン(VM)のホスティング、「Azure Active Directory」による多要素認証(MFA)の実装も加えた。
その結果、同じシステムやサービスを複数の企業で使うマルチテナント環境への適合性が高く、需要の増加に応じてスケールアップしやすいリモートデスクトッププラットフォームに進化した。
Windows Virtual Desktopの登場
Microsoftが2018年のMicrosoft Igniteで発表したWindows Virtual Desktopは、RDmiをベースとしてさらに進化させたものだ。
Windows Virtual Desktopは「Azure」のリモートデスクトップワークロードに対応する。管理コンソールはさまざまなMicrosoftクラウドサービスと連携しており、APIでWindows Virtual Desktopを管理・統合することも可能だ。ワークロードVMの実行にはAzureコンピューティング料金を支払う必要があるが、「Microsoft 365」のE3、E5、またはF1、あるいは「Windows」のE3またはE5のライセンスがあればWindows Virtual Desktopは無料で利用できる。
リモートデスクトップVMそのものには「Windows 10」、Windows Serverのリモートデスクトップセッションホスト、「Windows 7」(Windows 7の延長サポートを無料で提供する予定)、新しいマルチユーザー対応のWindows 10を使用できる。
マルチユーザー対応のWindows 10
マルチユーザーに対応する新しいWindows 10は、Windows 10の特別なエディションだ。Microsoftは「マルチユーザーWindows 10エクスペリエンス」と呼ぼうとしているようだが、「Windows 10 Enterprise Multi User」「Windows 10 Enterprise for Virtual Desktops」などの呼称も使われている。
多くの専門家は、Microsoftがこの新しいWindowsを用意したのは、Windows Serverのリモートデスクトップセッションホスト(RDSH)の役割をいずれは廃止しようとしているからではないかと見ている。Microsoftはそうした計画について明言しておらず、Windows Server 2019でもRDSHは存続していて、クラウドに最適化した新機能も多く追加されている。
Microsoftは「サーバにはWindows 10のようなパーソナライズされたエクスペリエンスは必要ない」という考えを表明している。Windows Server 2019のデスクトップエクスペリエンス(RDSHベースのアプリとデスクトップで使用)には、「Cortana」「Microsoft Store」「Edge」「Office 365 ProPlus」サポートなどのWindows 10機能は含まれていない。実際、「Windows Server Core」で実行できる昨今のサーバワークロードにGUIやデスクトップは不要だ。しかも2018年に実施したServer 2019の初期プレビューでは、RDSHの役割が一時的に消えていたという話もあり、臆測を呼ぶ要因となっている。
マルチユーザー対応のWindows 10は、通常のクライアント版Windows 10を基にしてマルチユーザー向けの拡張を加えたものであるため、最新のWindows 10と同等の要素を全て備えている。Server 2019のRDSHで削除された機能も全て含まれ、半期チャネルの更新も受けられ、デスクトップサーチはマルチユーザー環境向けに最適化されている。
Microsoftはこれを両者の利点を兼ね備えたものとして位置付けており、RDSHのスケーラビリティと、Windows 10のアプリケーション互換性、ユーザーエクスペリエンス、機能を同時に提供する。
Windows Virtual Desktopがビジネスモデルに及ぼす影響
こうした新機能はいずれもMicrosoft環境専用だ。Windows Virtual Desktopで管理するワークロードはAzureでのみ実行でき、マルチユーザーWindows 10エクスペリエンスはWindows Virtual Desktopでのみ使用できる。
現在サードパーティーソフトウェアとサービスのベンダーは、サービスの再販とAPIによる統合しかできない。だが、より広範なソフトウェアサービスの一部としてWindows Virtual Desktopを使用することが可能だ。例えばユーザープロファイル管理やアプリケーション管理、デバイス管理などのエンドユーザーコンピューティングサービスを提供することができる。多くの顧客はWindows Virtual Desktopの使用に必要なライセンスを既に持っており、その場合は追加コストもかからない。
業界関係者は、Microsoftが今後Windows Virtual DesktopとマルチユーザーWindows 10に関する制約を緩和するかどうかに注目するだろう。一方、MicrosoftはこれによってAzureの利用拡大を狙っている。いずれにしても、Windows Virtual Desktopを取り巻くさまざまな取り組みは、仮想デスクトップの分野にとってかつてない強力な後押しになるだろう。
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