多要素認証(MFA)が無意味だった可能性も
MicrosoftのWebメール「Outlook.com」で不正アクセス 何が起きたのか?
Microsoftは、同社のWebメールサービス「Outlook.com」のユーザーのうち、データが侵害された可能性のあるユーザーに警告した。同社への取材や「攻撃者からの声」だという報道を基に、攻撃の実態や被害を探る。
Microsoftは「Outlook.com」といったWebメールサービスの一部のユーザーに、アカウントが侵害された可能性があり、一部の機密データが不正アクセスされた恐れがあると警告した。
2019年4月12日遅く、Microsoftはメールサービスのユーザーに「2019年1月1日から3月28日にかけて、Microsoftが管理するアカウントのデータの一部に第三者が不正アクセスした」ことを知らせるメールを送信した。Microsoftによると、メールサービスのデータ侵害は範囲が限られていた。Microsoftは当初、攻撃者は、影響を受けたユーザーのメールアドレスやフォルダ名、メールの件名、それらのユーザーが連絡を取った相手のメールアドレスにアクセスした可能性があると述べていた。
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食い違うMicrosoftと“攻撃者”の主張
テクノロジーサイトTechCrunchがこのニュースを最初に報じた後、同じくテクノロジーサイトのMotherboardは、メールサービスのデータ侵害に関与した脅威アクター(脅威となる行為をする者)から情報提供を受け、スクリーンショットを入手したと報じた。この攻撃者は、侵害は6カ月にわたって継続され、「多くの」ユーザーのメール内容を閲覧できたと主張したという。
Microsoftの広報担当者は、メールサービスのデータ侵害が6カ月にわたって発生していたという主張に対し、「不正確だ」と反論し、侵害が発生した期間は1~3月だと再び明言した。その一方でMicrosoftは、攻撃者が一部のユーザーについては、より多くの情報にアクセスしていたことを認めた。
取材に対し、この担当者はメールで次のように述べた。
われわれは、影響を受けたユーザーの大半に送った通知では、『攻撃者は、メールの内容や添付ファイルを不正に閲覧することはできなかっただろう』と伝えた。小規模なグループ(もともと消費者の一部に限られる、影響を受けたユーザーのうち、6%程度)には、『攻撃者にメールアカウントの内容を不正に閲覧された可能性がある』ことを知らせ、追加のガイダンスとサポートを提供した。われわれは警戒を徹底し、影響を受けたアカウントのための検知と監視も強化した
この担当者によると、Microsoftは流出したクレデンシャル(IDやパスワードなどログインに利用する資格情報)を無効にし、攻撃者のアクセスをブロックすることで、この侵害の手口に対処した。この侵害は、消費者アカウントの限られた一部に影響したことが分かっているという。
Motherboardによると、メールサービスのデータ侵害は、顧客サポートアカウントのクレデンシャルを盗んだ攻撃者が引き起こした。Microsoftは、この点について確認を求める質問に答えず、多要素認証(MFA)を有効化していたユーザーが攻撃を免れたかどうかについても言及しなかった。
ID・アクセス管理(IAM)ベンダーのForgeRockでシニア製品マーケティングマネジャーを務めるロバート・バモシ氏は、今回のデータ侵害では、MFAは被害者の助けにはならなかっただろうと語る。「悪意ある第三者は、ユーザーのクレデンシャルにアクセスすることなく、ユーザーデータへの不正アクセスに成功しているからだ」
人々はメールに、クレデンシャルや個人を特定できる情報(PII)、各種の支払いに使う銀行口座の情報といった重要情報を含めてしまう場合がある。サービスが侵害された場合を想定して「MFAを有効にするとともに、現行のパスワードを変更して、さらなるアカウントハイジャックを防がなければならない」とバモシ氏は指摘する。
IAMベンダーOne Identityで主席ソリューションアーキテクトを務めるジョージ・サーボーン氏は、この攻撃が、サポート担当者のクレデンシャルの盗難が原因で発生したのであれば、皮肉なことだと指摘する。Microsoftは、そうしたアカウント侵害を防止できた可能性がある製品を作っているからだ。
「Microsoftは自社のアドバイスに従い、顧客に勧めていることを実行することもできたはずだ。つまり『Privileged Access Workstation』(PAW:特権アクセスワークステーション)を利用すべきだった」と、サーボーン氏は説明する。PAWによる一連の管理手順により「従業員が機密情報にアクセスする必要があるときは、それらに従わなければならなくなる」(同氏)。
サーボーン氏は特権ID管理(PIM)ツールを使う手もあると説明する。Microsoftはこれも提供している。従業員はPIMツールにより、特定の特権機能を一定時間のみ実行するためのアクセス権限をリクエストできる。所定の時間が終了すると、特権は、再び必要とされるまで解除される。
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