LenovoとHPのChromebookを使ってみた:Chromebookインプレッション
Lenovo 500e ChromebookとHP Chromebook x360 11 G1 EEを試用する機会を得た英Computer Weekly編集部。使ってみて初めて分かったこととは?
Chromebookを初めて手にしたとき、誰もが即座に抱く感想は「デスクトップPCが恋しい」ではないだろうか。
英Computer Weeklyは、Chromebookのエクスペリエンスに「慣れる」ため、そして(「Windows」「macOS」「Linux」の各デスクトップと比べて)より仮想化された「Chrome OS」で過ごすメリットとデメリットを評価するため、「Lenovo 500e Chromebook」と「HP Chromebook x360 11 G1 EE」を実際に使ってテストした(主に使ったのはLenovoのマシンだが)。
本稿では、オンラインツールとアプリに慣れていないユーザー向けに、そのファーストインプレッションと主なユーザビリティー要素を紹介する(訳注)。
訳注:Chromebookについては、別冊Computer Weekly「Chrome OS&Chromebookのススメ」およびComputer Weekly日本語版 12月5日号、12月19号でも取り上げている。
外観と質感の第一印象
完全にシャットダウンしていても、カバーを開くとマシンが起動する「自動電源オン」機能は非常に便利だ。Lenovoのマシンはこの機能を備えているが、他社製品の中には電源ボタンを押す必要があるマシンもある。
重要なのは、全てを自分の好みに合わせるには非常に多くの設定を調整しなければならないことだ。例えば、デフォルトの状態ではスリープモードでもWi-Fiはオンのままなので、バッテリーを不必要に消耗しないようにこの設定を無効にする必要がある(むしろ有効にしてある理由が分からない)。
基本的に常時オンラインのマシンにとって、オフラインへの移行は急激な変化を伴う。だがGoogleのコアアプリの多くは、オフライン時でも大変効率良く動作する。「Gmail」もその一つだ。(当然ながら)オフライン時に削除、送信、保存を実行した場合は、同期のためにインターネット接続が必要になる。
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その他の印象
本誌は最初、テスト用マシンのタッチパッドは右クリックが壊れている(本誌の前に何人かの指の太いジャーナリストがテストした結果かもしれない)と思った。だが、実際にはChromebookには右クリックオプションがない。
この52秒のYouTube短編動画は、Chromebookでコンテキストメニューを表示させる右クリック方法を3つ紹介している。
- Chromebookのタッチパッドを2本の指でタップする
- Altキーを押しながら「左」をタップする(右クリックという操作が存在しないので、左ではなくどこをタップしても構わない)
- Chrome OSがサポートしているマウスを接続して、右クリックボタンを使う
他にも、「Miniclip Pool」(ビリヤードゲーム)の動作がAndroidスマートフォンやiPadよりも遅いように感じた。事実遅いのかもしれない。このアプリの本当のターゲットはスマートフォンユーザーなので、11型画面でのプレイには完全には対応できないと思われる。
Lenovo 500e Chromebookと並行してHP Chromebook x360 11 G1 EEでもテストした。このChromebookのカバーはさらに美しく、多方面にわたってほぼ同等の機能を提供する。時間がなかったために片方ずつしか設定と使用テストができなかったが、両方を手にしたとき、なぜかLenovoの方が魅力的に感じられた。HPがCompaq Computerを買収したことを考えると、それは「Wintelpaq」(Windows、Intel、Compaq)の時代を回顧させるWindows系企業としてのHPの遺産が理由だろうか。納得のいく答えはそれしか思い付かなかった(訳注)。
訳注:LenovoがIBMから買収した「ThinkPad」もWintel時代を代表するノートPCの一つなのだが……。
Google for Education
この製品テストの話を最初に持ち掛けてきたのはGoogleだった。その理由は、同社が最近「Google for Education」という構想に力を入れているためだ。同社は、教育者や学校が学習エクスペリエンスを強化するための、Chromebookの新しいパートナーシップと機能を発表した。
学習をサポートする取り組みとして同社が挙げるのは、管理者の管理、導入オプション、アクセシビリティー機能、入力オプションだ。また、教育目的の高品質なアプリも多数そろえている。
Chromebookの新機能としては、視覚補助、スタイラスのサポート、音声入力、音声サポートなどがある。
パートナーの機能としては、例えば「read&write」が新しく導入されている。この読み書き用ツールバーは、音声で読み上げたり課題の調べ物をしたり文章を校正したりして、英語学習者や失読症の学生をサポートする。
「Soundtrap」は音楽、ポッドキャスト、言語、読み書きのトレーニングによって生徒の学習をサポートするアプリだ。教師がGoogleの「Classroom」を通じてレッスンを割り当てることもできる。ドキュメントやPDFに注釈を付けるアプリ「Kami」は、スタイラスとWebによってメモを非常に取りやすくする。
Lenovoについて補足
(HPには申し訳ないが)LenovoのChromebookを重点的にテストしたので、もう少し触れておきたい。教室での使用に適したフルサイズのキーボードには防滴設計のタッチパッドが備え付けられ、1.39カップ(330ml)の液体への耐久性があるとされている。この機能はテストしていないが、生徒は授業中に330mlを超えるビールを飲んではいけないということだろう。
Lenovoは、学校机の高さにほぼ相当する最高29.5インチ(75センチ)からの落下耐性をうたっている。その主張を検証するための学校机はなかったので、これもテストしていない。
LenovoもHPもカバーを360度回転できるヒンジを備え、前面と背面にカメラが取り付けられている。バッテリーの持続時間はどちらもほぼ10時間(テスト用マシンはそこまで持たなかっただろう)で、これは学校や職場で一日使うには十分と考えられる。
残念ながらHDMI端子はどちらにもない。
まとめると、常時オンラインに移行するのはある程度避けられないことだが、エクスペリエンスは全体的に良好だ。いずれかのChromebookを使ってみて、そのなじみやすさを体験してみる価値はある。デスクトップが恋しいと感じたこともすぐに忘れるだろう。Androidデバイスの愛用者はChromebookもきっと気に入るに違いない。
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