GDPRとバックアップの難しい関係、効率と「忘れられる権利」をどう両立するか:GDPR施行後1年で罰金事案は100件も
顧客からのデータ削除要請は、バックアップと「GDPR」の順守に立ちはだかる壁となる。GDPR施行から1年を迎えた今、こうした問題の解決策を考えてみよう。
欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)が施行されて1年、バックアップの戦略と実行においてGDPRの要件を明確に満たす方法について、幾つか教訓を得てきた。
2018年5月25日にGDPRが施行されてから1年が過ぎた。Googleが5700万ドルもの制裁金を科された件を含め、この1年で制裁対象の事例が約100件あった。GDPRには効力があり、EUはそれを容赦なく利用することを示している。
GDPRの施行に伴い、バックアップについて熱い議論が交わされている。コンプライアンス(法令順守)には、GDPRとバックアップの戦略に何が必要なのかを見つけ出そうとする動きが、企業の間で広がってきた。
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バックアップとビジネス継続性
GDPRには「データ主体(個人)の要請に一定の時間内に応える」という要件がある。フランスのデータ保護機関である情報処理・自由全国委員会(CNIL)によると、基本的に「一定の時間」とは1カ月を指すと考えているという。
米国ボルチモア市が被害を受けたランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃などのサイバー攻撃では、業務の復旧に数週間を要している。そう考えれば、1カ月という時間は十分でないと考えられる。バックアップは、個人データが関わる業務の全ての部分を素早く復旧できるようにする必要がある。
CNILは個人データの保護方法についてのガイドラインを公開しており、その中には業務を保証するためのバックアップに関する推奨事項が含まれている。一般に、復旧戦略はデータを復旧可能にするだけでは不十分だ。基礎となるセキュリティを効果的に扱い、個人データを扱うシステムとアプリケーションも保護する必要がある。
バックアップと「忘れられる権利」
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