アップデート時間は短くなるが……
Windows 10「19H2」の改良点はほとんどない? 混乱するIT担当者の声
「Windows 10」のアップデートによくある「インストールが長い」問題はIT担当者の悩みのタネだ。Microsoftは「19H2」でその解消を試みたようだが、IT担当者はかえって混乱を深めている。
「Windows 10」のアップデートに関する問題を解消しようというMicrosoftの取り組みは、遅過ぎた上、十分とはいえないようだ。
Microsoftの公式ブログによると、同社はWindows 10の機能更新プログラム(年2回提供する大型更新プログラム)「19H2」を2019年9月に提供開始する。19H2はWindows 10の「May 2019 Update」(バージョン1903)をインストールしているデバイスを対象に新しいアップデート方法を導入するという。パフォーマンスの改良点を少なくしてファイルサイズを小さくし、その分インストール時間を短くする。Microsoftは現在、開発者向けに提供する先行導入プログラム「Windows Insider Program」の「スローリング」(比較的安定したビルドを入手できる配信スケジュール分類)で19H2のテストビルドを公開している。
金融機関United Bankshares(United Bank)のウィレム・バグチャス氏は次のように語る。「今回のリリースは、何も明言しないまま多くのことを語っている。Microsoftはアップデートの中身を少なくしてインストール時間を短くしようという考えだ。水を入れるグラスを小さくすれば当然、早く飲み終わる」
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Windows 10「May 2019 Update」(バージョン1903)関連情報
Windows 10アップデートの問題点
Windows 10アップデートはこれまで数多くの問題を抱えてきた。Microsoftが継続的なアップデートサイクルの採用を決定したことは、IT管理者とエンドユーザーの両方から不評を買っている。
ある金融サービス会社でITエンジニアを務めるシャンドン・ピエール氏は次のように語る。「Windows 10のやり方は変わり続けている。Windows 10管理業務は、Microsoftの新しいポリシーに追随しながらエンドユーザーの声に応えることに多くを費やさなければならない」
金融サービスを手掛けるWestern Unionグループで、エンドユーザーコンピューティングソリューションエンジニアリングスペシャリストを務めるオレグ・カザック氏は「アップデートのペースに付いていくのは大変だ。小規模のITチームには負担が大きい」と話す。
「アップデートの適用を18カ月引き延ばして、機能更新プログラムをスキップすることもできるが、その場合はOSを最新状態にできず、別の問題にもつながる」とカザック氏は説明する。バージョンを幾つかスキップすると、次のアップデートはファイルサイズが非常に大きくなり、インストールに時間がかかる。ユーザーの作業を長時間中断することになり、一度に多くの変更点を取り込むことにもなる。
アップデート管理システム「Windows Server Update Services」(WSUS)でのWindows 10制御が正しくできないこともあったとカザック氏は語る。「失敗したアップデートを修復したり、回避策を探したりするのにさらに時間がかかる」(同氏)
Microsoftはアップデート管理のために、アップデート間隔を管理可能にする「Windows Update for Business」(WUB)の使用を推進している。ただしWindowsの構成管理システム「System Center Configuration Manager」(SCCM)やWSUSと比べると、アップデート管理プロセスの柔軟性や管理性、可視性が低いとカザック氏は指摘する。「大型アップデートのリリースが年に1回だけなら、WUBも使えなくはなかっただろう。アップデート適用の延期期間に制限がある現状では、年1回のアップデートポリシーを作成するのは難しい」(同)
その解決策としてアップデートのサイズを縮小するというMicrosoftの案は、分かりやすさより混乱を招く、とバグチャス氏は指摘する。「アップデート時間が短くなる以外、何も変わらない。Windowsのアップデートに対する不満の元は、所要時間の長さよりも、選択の余地がないところだ」(同氏)
調査会社Constellation Researchでバイスプレジデント兼主席アナリストを務めるホルガー・ミュラー氏は、Windows 10 19H2の発表で、Microsoftは何をすべきか分からなくなっている印象を受けたという。「問題は、Microsoftが次々にやり方を変えていることだ。『嫌なら使うな』というような強制的なアップグレードも、押し通していればユーザーは慣れた可能性がある」(ミュラー氏)
イノベーションの欠如
ミュラー氏によれば、今回の決定はMicrosoftにおけるイノベーションの欠如の現れだという。「ここ1年以上、Windowsのリーダー不在が続いている。これは良くない兆候だ」(同氏)
2018年3月、MicrosoftはWindows担当エグゼクティブバイスプレジデントだったテリー・マイヤーソン氏が退社することを発表した。これに伴い、同氏が率いてきたWindows and Devicesグループを、ブラッド・アンダーソン氏率いるEnterprise Mobility + Securityと、ラジェシュ・ジャー氏率いるExperiences & Devicesという2つのグループに分割した。「 Microsoftは誰がWindowsのどの部分の責任者なのか明確にする必要がある」(ミュラー氏)
ピエール氏は、Microsoftはエンドユーザー向け製品を提供することより、低運用費サービスの提供に関心を移していると見る。「OSは、もはや魅力的な製品ではなくなっている」と同氏は語る。
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