GANに期待するもの【前編】
ディープフェイク生成の懸念を超えて「GAN」に期待できる用途とは?
高い精度でコンテンツを認識し、再現できる独特の能力を持つGAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)。これを応用することで何が可能になるのか。
GAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)は、高い精度でコンテンツを認識し、再現できる独特の能力を持つ技術だ。本物の顔写真のような画像を生成するGANの用途には特に大きな注目が集まる。GANを活用してコンピュータのみで生成した人物画像の実例も示されており、これは本物の人のようにしか見えないという点で素晴らしいと同時に、その技術がどのような使われ方をするかという点で疑念を生じさせる。
初期のGANで生成された画像は、比較的簡単に、コンピュータで生成されたものだと特定できた。ところが高度な学習を受けたGANは、リアルな人の顔写真を生成できるようになり、注意深く見ない限り大抵の人を簡単にだますことができる。GANは本物と見分けが付かない偽の動画や画像である「ディープフェイク」の生成に悪用される可能性があり、プライバシーや身元確認に関する重大な懸念を生じさせる。
悪用や詐欺行為の目的で、GAN生成画像を使って偽のソーシャルメディアアカウントを開設する行為を阻止する手段はほとんどない。顔認識ソフトウェアに依存する企業にとって、そうした画像はセキュリティ問題やプライバシー問題につながりかねない。
GANは何の役に立つのか
GANは主に生成モデルと識別モデルという2つのコンポーネントで構成される。その2つのモデルは、一方が参照するデータを収集・分析し、他方はその分析に対抗する形で、互いに競い、果てしないバトルを展開しながら完成度を高める。GANを使えば、画像などのデータを学習・分析できるだけでなく、独自の方法で画像を作り出すこともできる。データの中の複雑なパターンを認識して、そのパターンから外れたコンテンツを生成できる能力は、さまざまな業界の発展につながる。
企業はGANを正しい目的で活用する道を見いだしている。顔写真を生成できるGANの能力は、警察が行方不明者の写真を加工したり、スマートフォンに新しい環境でユーザーの顔をもっとうまく認識させたりする目的で利用できる。
幅広い分野において、GANは斬新かつリアルな画像の生成に応用されている。GANは芸術作品のスタイルを認識し、そのスタイルをリアルに再現した新しいオリジナルの芸術作品を完璧に制作できる。実在しないビルの外観から、一から作り上げたアパレル商品、自然や屋外の光景の演出、さらには家具が完璧に整った何もかも架空の部屋の写真に至るまで、あらゆる形態のコンテンツを作成可能だ。半導体メーカーのNVIDIAは、GANを使って高精細で驚くほど精密なゲームの仮想世界を作り出している。
GANは画像などの構造化されていないデータを手早く検索する目的でも利用できる。構造化されていないデータのリポジトリと組み合わせて利用すれば、見た目が似ている画像の取り出しや識別に生かすことも可能だ。
教師あり学習の形式でGANが生成する画像にラベルを付け、続いて人間が生成した文字による表現を使って、その表現に最も一致する画像を仕上げることもできる。この仕組みからは、機械が文字を音声に変換するように、文字を画像に変換するという独特なアイデアが生まれる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
GANに期待するもの
リアルな画像やディープフェイクを作り出せるGANの能力に対し、業界で懸念が強まっている。だが不安を乗り越えてGANを応用すれば、圧倒的に素晴らしい実用性を発揮できる。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー