『MIT Technology Review』選出の次世代イノベーター2人が語るAIとARの未来:新興テクノロジーの最前線で活躍
MIT Technology Reviewが毎年発表する「35歳未満のイノベーター」の中から、注目の2人を紹介する。
MIT Technology Reviewが毎年発表する「35歳未満のイノベーター(Innovators Under 35)」は、AI(人工知能)やVR(仮想現実)、ロボット工学、そしてセキュリティの分野で困難な問題に取り組み、顕著な進歩を遂げている個人を表彰する。2017年のリストには、敵対的生成ネットワークの発明者であるイアン・グッドフェロー氏と、AR(拡張現実)のセキュリティに重点的に取り組んでいるフランチスカ・ローズナー氏が含まれた。受賞者は、米国マサチューセッツ州ケンブリッジで開催された年次カンファレンス「EmTech」で、自身が取り組んでいる研究内容に関する短いプレゼンテーションを行う機会が与えられた。以下、両氏氏の持論を紹介しよう。
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人工知能の最前線
仮想現実と拡張現実
イアン・グッドフェロー氏と敵対的生成ネットワーク
機械学習で苦労する点の1つは、トレーニング用データにラベル付けをするのに工数がかかることだ。「2013年のGoogleストリートビューでは、人間の能力をはるかに上回る正確さで読むことができる、最初のシステムを構築した」とGoogle Brain(Googleのディープラーニングプロジェクト部門)のスタッフリサーチサイエンティストであるグッドフェロー氏は語った。「その際、われわれは1000万枚以上のラベル付き画像のデータベースを使ってそれを実行した」
2014年にグッドフェロー氏は、このプロセスをより効率的にするための取り組みを始めた。モデルが予測するものと、人間がモデルに対して予測してもらいたいと望むものとの差を最小限に抑えるために、同氏は従来のモデル最適化に依存せずゲーム理論を応用した。このAI技術は「敵対的生成ネットワーク(GANs)」と呼ばれ、AI業界では現在、ホットな話題となっている。
人間が指導や監視をしない2つのニューラルネットワークが「トレーニング用データを作成するに当たり、その分散について全てを学習するためにゼロサムゲームで互いが対抗する」とグッドフェロー氏は述べた。識別者ネットワーク(discriminator)である1つのモデルは、画像が本物か人工的に作成されたものかを判断しようとする。もう一方のネットワークモデルは、本物と非常に良く似た画像を生成して、識別者モデルをだまそうとする。最終的には、識別者モデルが本物の画像と人工的に作成された画像とを区別できなくなるまで、このプロセスは繰り返される。
これら2つのニューラルネットワークは、ラベル付けされたデータを使用せずに、互いに学習していく。そして今のところ、この手法は有望である。100枚の画像を使用したGANsは、ほんの数年前に6万枚の画像で学習した従来のモデルと同程度の精度を達成した。
フランチスカ・ローズナー氏と拡張現実(AR)のセキュリティ
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