作業員をすぐさま“熟練工”に変える
「拡張現実」と「IoT」さえあれば専門知識はもういらないのか?(1/2 ページ)
インターネットに接続するデバイスから得たデータと、拡張現実(AR)を使った可視化技術の組み合わせによって、工場などで働く現場作業員の働き方が変わる可能性がある。
モノのインターネット(IoT)が2016年の大ヒットだとすれば、拡張現実(AR)がその座を間もなく奪う可能性がある。ARは、インターネット接続型のデバイス(IoTデバイス)で何が起きているかを容易に確認できるようにする技術だからだ。
米バージニア州ウィリアムズバーグに本拠地を置くカスタムARサービスベンダーのIndex AR Solutionsで最高執行責任者(COO)を務めるデクスター・リリー氏によれば、IoTとARは間違いなく夢の組み合わせだという。「IoTは集めたデータを情報に変えるだけだが、その情報を利用者にとって扱いやすい形で提供するのがARだ」と同氏は説明する。
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ARがIoTデバイスのデータを可視化
調査会社Gartnerは、2020年までに250億個のIoTデバイスがインターネットに接続されると予測する。自動車、ジェットエンジン、洗濯機、工場の現場設備などの製品が、膨大な量のリアルタイム情報を収集するようになるだろう。企業はこの情報を分析し、適切な意思決定につながる洞察を求めることになる。
IoTデバイスから得られるデータの大部分は、そのまま利用するには適していない。IoTとARを補完的に使用することで、作業者は直感的かつ作業結果が最適になる形式で、データへアクセスできるようになる。例えばARダッシュボードの仮想計器を使って、ネットワーク接続型エンジンの温度をリアルタイムに表示したり、機械の特定部品の分解方法について状況に応じた指示を示したりして、現場でのメンテナンスを担う作業者を支援できる。
「単純に言ってしまえば、ARによってIoTデバイスの内部で起きている情報を目にすることができる」。製造業務向け製品ベンダーPTCが新たに買収したAR部門、Vuforiaで統括責任者兼ジェネラルマネジャーを務めるジェイ・ライト氏は、こう話す。IoTデバイスから得たデータへ実際にアクセスできれば、「エンドユーザーが製品の操作中でも、調査中でも、メンテナンス中でも、状況に応じた関連性の高い指示を示すことができる」(ライト氏)という。
例えば正確なリアルタイムデータを製品担当者に提供すれば、その担当者は適切な指示を出せる。ライト氏によると、PTCが2016年6月に開催したIoTイベント「LiveWorx 2016」で建機大手のCaterpillarが披露したデモでは、業務用発電機をレンタルする顧客がVuforiaのAR技術を利用して、システムの起動方法や後々のトラブルシューティング方法について、対話形式で指示を受ける様子を示した。
ARを使わなくても同じデータを得ることはできるが、「IoTセンサーのデータとARを組み合わせて、そのデータを機械の上に直接重ねて表示する機能によって、状況に応じた作業者への指示が可能になる」とライト氏は指摘する。例えば既に発電機が動作していれば、作業者に電源ボタンを押す指示をする必要はない。発電機の動作速度を上げるのか下げるのかを指示するには、現在の動作速度を知る必要がある。
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