作業員をすぐさま“熟練工”に変える
「拡張現実」と「IoT」さえあれば専門知識はもういらないのか?(2/2 ページ)
AR×IoTの将来像
PTCは同社のARアプリケーション開発用ライブラリの最新版「Vuforia 6」をリリースしたばかりだ。このライブラリには、仮想空間と実世界との位置合わせに利用する視覚的なマーカー「VuMark」を導入した。このVuMarkはカスタマイズが可能で、あらゆる製品や対象物をARの対象にすることができ、MicrosoftのARヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」や「Windows 10」搭載タブレットで利用できる。ライト氏によれば、Vuforiaを利用したアプリケーションは、既に市場で3万種類を超えているという。
米国テキサス州アービングに本拠地を置く工業用ポンプメーカーFlowserveで、研究開発部門のバイスプレジデントを務めるエリック・ヴァン・ジェメレン氏は、「ARは、当社の工業IoTに対する取り組みの次の一歩になるだろう」と話す。同社はセンサーを取り付けた工場現場設備、PTCのIoTアプリケーション開発環境「ThingWorx」、独自構築の分析システムなどを組み合わせて、遠隔地からでも問題を診断して解決できるようにした。この仕組みにより、設備や工場システムでの障害の発生を未然に防ぐことができるという。
IoTとARの組み合わせにより、予測型のシステムメンテナンスも可能になる。システムのダウンタイムを回避するだけでなく、適切に調整された設備によってエネルギーの使用量を最適化できれば、コスト削減にもつながる。
FlowserveはARの活用で、同社のインテリジェンスを全く異なる相手に公開できるようになる。多くの場合にその相手となるのは、ノートPCやWebブラウザに直接アクセスできない工場など現場の遠隔作業員だとジェメレン氏は説明する。
IoTが接続部品の役割を果たし、機械学習が分析コンポーネントになり、ARがユーザーエクスペリエンスの要素を提供する――。これが、FlowserveがIoTとARに抱くビジョンだ。「ARによって、非常に利用しやすい形式でインテリジェンスを公開する手段が得られる。場合によっては、作業員が製品の分解方法や組立方法に関する機械的知識を持つ必要もなくなるだろう。ARは作業員を“熟練工”にし、作業を安全にする」(ジェメレン氏)
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