デジタル時代のERP再考(3)【前編】
あなたの身近にもある、IoT活用の変革事例(1/2 ページ)
2015年9月のSalesforce IoT Cloud発表、IBMとARMのIoT分野での協業などIoT関連の動きが激しい。ところで、IoTはわれわれの生活にどのような価値をもたらすのだろう。
“つながらない”=“不便”の法則
電車でSNSの「Facebook」につながらなかったときや会社でメールが使えなかったときに不便を感じたことはないだろうか。インターネットやWebの台頭、モバイルデバイスの発展により、生活は劇的に便利になり、世界中の情報にいつでもアクセスできるようになった。また、今や海外拠点とビデオチャットができることに驚く人や感動する人は少ない。言い換えると、今私たちがいる時代は、つながることに何ら違和感はなく、むしろつながらないことに著しく不便を感じてしまう時代なのである。
モノがインターネットにつながることは目新しいことなのか
昨今、このつながるということが、私たちの身近なモノにまで広がりを見せている。例えば、冷蔵庫や電球、エアコンなどさまざまな電化製品がインターネットにつながることを前提に製造されている。米IT調査会社Gartnerが2015年に発行した「Hype Cycle for Emerging Technologies」においても、「IoT(モノのインターネット)」は過度な期待のピークに位置付けられており、テクノロジーの観点でも注目されているといえる(図1)。
一方で、この「モノがインターネットにつながる」ことは、過度な期待をするほど画期的なことなのだろうか。モノがインターネットにつながるということ自体は、センサーによる機器の状態監視や計測などをする「テレメトリング」という技術を使ったさまざまなサービスが既に提供されており、それほど目新しくはない。
例えば、自動販売機の売り上げ情報/在庫状況の確認、走行中の車両管理があげられる。中でもコマツが提供する「KOMTRAX」は、非常に洗練されたサービスだといえる。世界中のコマツの建設機械からさまざまなデータを吸い上げ、稼働管理や車両管理、予防保守などのサービスを提供している。このように、IoTがブームとなる以前からモノがインターネットにつながることによるサービスは提供されてきたのである。
なぜ、IoTが注目されているのか
では、なぜ今IoTがこれほど注目されているのだろうか。
1つ目にはセンサーやタグ技術の進歩が挙げられる。矢野経済研究所は、RFID(無線ICタグ)の価格は2017年には27.8円/枚(2012年度比31.7%減)になると予測している。これまではコストの観点から、高価格帯の製品でなければセンサーやタグを取り付けることができなかった。だが、それらの価格低下により中低価格帯の製品にも取り付けることが可能となったのである。
一方、高価格帯の商品に関しては、これまでと同様のコストでより多くのセンサーを取り付けることができ、より細かい粒度でデータを取得することが可能となった。米Cisco Systemsによると、世界全体でネットワークにつながるデバイスが1年間に生成するデータの量は年々増加傾向にあり、2019年には507.5Zバイト(ゼタバイト)に達すると見込まれている。
2つ目として、ネットワーク関連技術の進歩が挙げられる。より細かいデータを収集できるようになると、より多くのデータを送受信するためのネットワークが必要となる。2015年現在では、一般家庭にギガビットのネットワーク回線が引かれ、モバイルネットワークは「LTE」が主流となっている。そのため、多くのデータをやりとりするためのネットワークインフラは整ってきている。
以上のことから分かるように、つながるということに対するわれわれのマインドの変化と関連技術の進歩/普及により、IoTをビジネスとして取り組むことができる環境が整ったことが、IoTへの注目度をこれほどまでに高めている背景だといえる。
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