「リビルド」「リライト」に潜むリスク
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
メインフレーム刷新は企業の急務だが、全面的なリビルドやリライトには費用面とリスク面での懸念が残る。損保ジャパンの事例から、既存資産を生かした「リホスト」選定のロジックと意思決定の基準を読み解く。
企業のITインフラにおいて、長年稼働してきたメインフレームの刷新は避けて通れない課題となっている。特に保険会社のシステムは契約者へのサービス提供を支えるため、長期にわたる安定運用が不可欠になる。しかし、メインフレームのシステム構成ではシステム規模の縮小に合わせて運用費用を最適化することが難しく、ハードウェアやソフトウェアの保守、更改に伴う継続的な投資負担が重くのしかかっているのが実態だ。
SOMPOグループの中核として事業を展開する損害保険ジャパンも、この課題に直面していた企業の一つだ。同社は2025年6月、既存契約に関わる業務を継続するランオフシステムについて、「Microsoft Azure」への本番稼働を開始した。同システムは、「COBOL」や「Job Control Language」(JCL)、アセンブリ言語(アセンブラ)などで記述された大規模なレガシー資産を抱えるミッションクリティカルなシステムだ。
巨大なレガシーシステムを移行する際、プロジェクトの成否を分けるのは手法の選択だ。全面的な再構築(リビルド)や言語変換(リライト)などの選択肢がある中で、損害保険ジャパンはなぜ既存資産を活用する「リホスト」を採用したのか。古いプログラム資産を前に、企業が考慮すべき移行方針の基準を探る。
リビルドがはらむリスクと、リホスト選定の論理
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損害保険ジャパンは、メインフレームで稼働していたシステムをMicrosoft Azureに移行し、本番稼働を開始した。移行ツールとして日本ティーマックスソフトのメインフレームリホストサービス「OpenFrame」のバージョン7を採用している。2026年9月25日、日本ティーマックスソフトが発表した。既存のプログラム資産を最大限に活用して移行リスクを抑え、メインフレームの維持費用削減と運用の持続可能性確保を目指す。
損害保険ジャパンは、SOMPOグループの中核として損害保険事業を展開している。保険会社のシステムは契約者へのサービス提供を支えるため、長期にわたる安定運用が不可欠となる。一方で、メインフレームではシステム規模の縮小に合わせて運用コストを最適化することが難しく、ハードウェアやソフトウェアの保守、更改に伴う継続的な投資負担が課題となっていた。
対象となったのは、既存契約に関わる業務を継続するランオフシステムだ。同システムはCOBOL、JCL、アセンブラを中心に記述された大規模なレガシー資産を抱えるミッションクリティカルなシステムだ。損害保険ジャパンはシステムの特性を踏まえ、全面的な再構築(リビルド)や言語変換(リライト)ではなく、既存資産を活用して短期間かつ低リスクで移行できるリホスト方式を採用した。
移行基盤にはOpenFrame 7を採用した。OpenFrameは、COBOLや「PL/I」、アセンブラ、JCLなどの既存資産を活用しながら、アプリケーションをオープン系のシステムやクラウドインフラに移行するためのサービスだ。今回、損害保険ジャパンはアセンブラを含む既存プログラム資産に対する高い互換性を評価した。現行の業務ロジックを踏襲し、アプリケーションの改修を最小限に抑えながら、移行後の安定稼働を維持できる点が選定の決め手となった。
プロジェクトは2021年9月に開始し、約45カ月間の開発を経て2025年6月に本番移行を完了した。損害保険ジャパン、日本ティーマックスソフト、SI(システムインテグレーション)パートナーが連携し、大規模なレガシー資産の品質を維持しながら、Microsoft Azureを移行先とするオープン系システムへの移行を完了した。
新システムへの移行によって、メインフレームの維持費用を削減した。損害保険ジャパンは今後、削減したコストをデジタルサービスの高度化やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進などの領域に活用する方針だ。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「損保ジャパン、基幹システムをAzureへ移行 既存資産生かし運用費削減」(2026年9月28日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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