サイバー攻撃で現実世界が大混乱?
5年後にきっと大問題になる「IoTセキュリティ」、何に気を付けるべきか
米Gartnerの予測では、IoTは今後急速に普及し、2020年には情報セキュリティに広範な影響を及ぼすようになるという。IoTのセキュリティについては、特に物理的安全とデータ処理の面でより有効なプランニングが必要となる。
調査会社の米Gartnerは、2015年6月上旬に開催のセキュリティイベント「Gartner Security and Risk Management Summit」において、2020年のセキュリティ分野について予測し、向こう5年間で情報セキュリティに大きな影響をもたらす技術の1つとしてIoT(モノのインターネット)を挙げた。
基調講演に登壇したGartnerの取締役副社長、クリスチャン・バーンズ氏は、セキュリティを取り巻く環境は今後急速に変化するとの見方を示し、「IoTへの備えができていない企業は必ずや取り残されることになる」と指摘した。企業のセキュリティ戦略に最も大きな影響が及ぶのは、物理的安全との関連およびIoT端末から収集する大量のデータの扱い方に関してだという。
「収集されるデータははるかに膨大になる。モバイルがIoTへと進化するにつれ、データソースも桁違いに増えることになるからだ。2020年には、2015年より1000倍もの大量のデータが収集されることになるだろう。データを収集して使用し、インテリジェントに分析する企業だけが成功できる」とバーンズ氏は語る。
情報セキュリティの3大要素はこれまで、機密性(Confidentiality)、完全性(Integrity)、可用性(Availability)の頭文字をとって「CIA」と呼ばれてきた。だがバーンズ氏によれば、IoTの影響でこれらの要素にも変化が起きるという。リアルタイムのイベント駆動型システムの増加に伴い、可用性はますます重要となる。一方、生成されるデータは膨大な量となるので、データの完全性に対する企業の要求レベルは低くなることが予想される。
「機密性については、興味深い変化となりそうだ。世の中は目下、世界的規模で変化しているからだ。人々はデータの機密性を懸念するようになってきている。1つ確実なのは、透明性の向上に向けた動きが活発化していることだ」とバーンズ氏は語る。
透明性の向上を目指すことは、企業にとって重大な決断になり得る。IoT端末から収集するデータの量は膨大であり、その全てを保護することは今後ますます難しくなる。その一方で、データの完全性に対する要求レベルが低くなれば、必ずしも全てのデータを保護する必要はなくなるからだ。
「皆さんは2020年までに会社の透明性をどの程度にしたいだろうか。収集するデータは今の3~10倍程度に増えるものと予想されるが、そうした大量のデータをどう扱うつもりだろうか。全てのデータを徹底的に保護するつもりだろうか」とバーンズ氏は聴衆に問い掛け、次のように続けた。「今と2020年ではセキュリティに対する考え方も違ってしかるべきだ」
同氏によれば、2020年のセキュリティにおける最大の変化は、CIAという基本要素に「安全性(Safety)」が加わり、「CIAS」に変わることだという。この大きな変化の直接の原因となるのが、IoTの普及だ。
今後ネットワークに接続する端末がますます増加することによる影響としては、「物理インフラの複雑さと自動化がリスクを増大させる」「セキュリティ戦略にハザードコントロール(危険因子管理)が組み込まれる」「サイバー攻撃が現実世界に影響を与える可能性が出てくる」といった変化が予想される。バーンズ氏は、一部の業界はこうした変化を他より先に体験することになると述べ、例として、病院の患者向けの自動調剤システムや、建物の出入りから信号機までさまざまなものを制御するセキュリティシステムを扱う業界を挙げた。
「物理セキュリティと情報セキュリティの融合は今や不可避だ」とバーンズ氏は語る。「世の中がIoTの時代へと移行する中、IT部門にとっては恐らくこの融合が最も重要な課題となる。物理セキュリティは従来、生命の安全や保護と関係するものだったが、今ではそれがIT部門の管轄下に入りつつある。もはや失敗という選択肢はない。IoTは今何が起きているかを読み取るだけでなく、今起きていることを変えることもある。IoTには物理的な世界を変える力がある」
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