デジタル時代のERP再考(2)
インメモリやクラウドが経営を変える ERPの「リアルタイム経営」が生み出す新たな価値(1/2 ページ)
インメモリやクラウドなどの技術の登場により、リアルタイムアナリティクスが可能になりつつある。リアルタイムアナリティクスによって、私たちの仕事や生活はどのように変わるのだろうか。
「リアルタイム経営」が重要だといわれるようになって久しい。ビジネスに関わるあらゆるレイヤー、あらゆる役割の人が必要な情報を瞬時に入手することができ、それに基づいて最適な判断がその場でできるようにすること。さらに判断からアクションまでのスピードをリアルタイムに近づけることが、目まぐるしく変化する市場で生き残るために必要とされている。このリアルタイム経営の実現を可能にするものの1つに、「リアルタイムアナリティクス」がある。
時々刻々と生み出されるデータを捉え、分析し、原因の追究が必要なら原始データにさかのぼり、現在の傾向から次に起こることを予測する。そのようなリアルタイムアナリティクスを実現するための技術やさまざまなアプリケーションが既に世の中に出ているが、活用は進んでいるのだろうか。
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実現する技術の1つがインメモリコンピューティングである。これは、データを処理するためにHDDに書き込んだり、HDDから読み出したりするのではなく、メモリにデータを保持し、メモリ上で検索や処理を完了するというものだ。その先駆け的存在である「SAP HANA」がリリースされたのは、リアルタイム経営という表現が出回るようになる少し前の2010年のことだ。当初は全てのデータをメモリに保持するというコンセプトが不安視されたものの、現在では主要なデータベース管理システム(DBMS)はほぼインメモリ機能を備えるようになっている。また、オープンソースソフトウェア(OSS)にも「Apache Spark」のようなインメモリ処理を実行するソフトウェアが生まれている。もはやメモリにデータを保持し、メモリで処理を完了することが当然になってきている。
また、もう1つの重要な技術としてクラウドコンピューティング(クラウド)がある。クラウドでは、加速度的に増えるデータを格納する容量や、データを処理する能力を必要なときに必要なだけ手に入れることができる。この技術が国内で使われるようになった1つの契機が、米Amazon Web Servicesが提供している「Amazon Web Service」の東京データセンター開設だ。
クラウドもまた、当初は基幹システムに用いるようなものではないと見られていた。だが、今では多くのシステムでクラウドが検討され「クラウドファースト」と呼ばれるまでになった。新しい試みは小さく始め、性能や容量は動かしてみてから追加すればよいし、不要なら利用を停止すればよい。従来のインフラ調達にかかる投資の判断や機器のリードタイムが圧倒的に短縮でき、価値の創出が早まる上、データの増大に伴うインフラの能力不足によるパフォーマンスの低下も避けることが可能だ。
今やこれらのテクノロジーは、使うべきか否かではなく、どこに使うべきかを考える段階になったといえるだろう。そしてこれらを活用することが、リアルタイムなデータ活用の鍵となる。
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