失敗しないERPの選び方:会計モジュール編クラウドERPを選定する際の考え方は?

モジュールごとに導入することが多いERP。本連載ではモジュールごとに製品選定のコツを紹介する。初回の会計モジュールでは財務会計機能と管理会計機能の選び方、クラウドERPを選定する場合の考え方などを解説。

2012年08月22日 08時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 多数のERPパッケージから自社に合った適切な製品を選ぶのは難しい。ERPはモジュールごとに導入することが多く、選定に際してはモジュールの特性を理解することが重要だ。本連載ではERPに詳しい専門家にERPモジュールごとの選び方を聞く。第1弾はERPの基本モジュールとなることが多い会計モジュール。上場企業で経理部長を務めてきた公認会計士の五島伸二氏の話をまとめた。

 会計モジュールは大きく財務会計機能と管理会計機能に分かれる(参考記事:読めば分かる! ERPの財務・管理会計)。財務会計は決算短信や有価証券報告書、税務申告書など法制度で決まっている会計処理を行い、書類の提出や申告を行うための機能だ。

 一方、管理会計は予算管理や実績管理、コスト管理など企業の経営に役立つ機能を提供する。ERPによっては財務会計と管理会計を1つのモジュールで提供しているケースもあるが、2つのモジュールで提供する場合もある。法制度対応のために財務会計機能は利用したいが、管理会計は「Microsoft Excel」で十分という企業もある。会計モジュールを選ぶ際は財務会計と管理会計のどの範囲をカバーしているかのチェックが欠かせない。

ERPの想定ユーザーを確認する

 既存のERPや会計システムの財務会計機能は、どれも必要十分な機能を備えているといえるだろう。普通に使えば法制度に対応した書類を作成可能だ。ただ、そのERPや会計システムがどのような利用の仕方を想定しているかは、事前に確認が必要。ERPは非上場企業、上場企業、上場のグループ企業など、企業の規模別に機能が異なる。その企業の状態によって作成する書類・提出はさまざまだ。 

 また、現在は非上場だが、将来は上場する予定の企業であれば、選択するERPが上場後も利用できるかどうかは必須の確認項目だ(参考記事:定番ERPだけじゃない、中堅・中小企業のERP選びに第2の選択肢)。さらに子会社を作って企業グループを組織するのであれば、連結決算に対応できるかどうかのチェックも必須だろう。海外対応も課題になる。会計モジュールの財務会計機能を選ぶ際は、企業の規模や状態に合わせた拡張性があるかどうかを確認しないと、将来に二重投資が発生してしまう。

 財務会計機能を選ぶ上でのもう1つのポイントは、頻繁に行われる会計基準や税法の改正に迅速に対応しているかどうかだ。会計基準や税法が改正された場合、多くのERPベンダーは財務会計機能に修正プログラムや修正パッチを提供し、対応させている。経理部門や情報システム部門にとっては、なるべく早く提供された方が準備の上で都合がいい。過去の法制度変更にそのERPがどのようなタイミングで対応したかは事前に確認したい。また、その修正プログラムが保守サポートの範囲内で行われたか、または別途有償だったのかも確かめる必要がある。

管理会計で考えたい「誰が使うのか」

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