「Fat Tire」「Voodoo Ranger」のメーカーが決断
クラフトビールメーカーがクラウドをやめてHCI「VxRail」に移行した理由
ビールメーカーのNew Belgium Brewing Companyは、業務アプリケーションを稼働させていたクラウドをやめて、HCIに移行した。何が理由だったのか。
クラフトビールを製造するNew Belgium Brewing Companyは、ベンダーが運用するインフラの一部を特定のユーザー企業が専有する「ホスティング型プライベートクラウド」に関するさまざまな課題から解放された。ビールメーカーとして約30年の歴史を持つ同社は、ホスティング型プライベートクラウドの利用をやめ、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)に移行した。採用したのはDell EMCのHCIアプライアンス「Dell EMC VxRail」(以下、VxRail)だ。
New Belgium Brewingは米コロラド州フォートコリンズに本社を置き、約700人の従業員を抱える。製造するビールの代表的なブランドは「Fat Tire」と「Voodoo Ranger」だ。同社はマルチテナントのホスティングサービスでホスティング型プライベートクラウドを構築し、ERP(統合管理)、CRM(顧客関係管理)、データウェアハウス(DWH)などのシステムを運用していた。製造と生産を管理するシステムは、各拠点に設置した固有のストレージシステムを利用してきた。
「ホスティング型プライベートクラウドのコストと運用管理に、事業から得られる利益の全てをつぎ込んでしまうことになった」。New Belgium BrewingでIT分野を統括するジェイク・ヤケル氏は、ホスティング型プライベートクラウドからHCIに移行した背景をこう語る。
クラウドからHCIへの移行を決意
ヤケル氏は、ホスティング型プライベートクラウドの運用には課題が少なくなかったと振り返る。例えばVMware製品のバージョンアップに追従するため、ホスティングベンダーから何度となく設定変更の作業が求められた。各種変換作業やその他の面倒な作業を施さなければ、ホスティング型プライベートクラウドの環境で仮想マシンを動作させることができなかった。「このような状況から脱却するには、自社で全てをコントロールできるようにする必要があった」と同氏は語る。
HCIは一般的に、従来のNAS(ネットワーク接続ストレージ)の代替手段となる。HCIは、サーバ、ストレージ、ネットワークを単一の筐体に収めた製品だ。Dell EMCはグループ会社にVMwareがあることもあり、主要なHCIベンダーの一社となっている。Dell EMCはVxRailに加えて、ストレージ容量をペタバイト級まで拡張可能なHCI製品である「Dell EMC VxRack SDDC」も提供している。
New Belgium BrewingはDell EMCの長年のユーザー企業であり、例えばDell EMCのストレージシステム「Dell EMC SC」とサーバ「Dell EMC PowerEdge」を使用している。ホスティング型プライベートクラウドは、オンプレミス型プライベートクラウド(オンプレミスのインフラをクラウド化した狭義のプライベートクラウド)の代替として捉えられがちだが「コストは天文学的とも言えるレベルまで上昇する可能性がある」とヤケル氏は語る。
社内システムのアップグレード時期が来た際、New Belgium BrewingはSAN(ストレージエリアネットワーク)の構築も候補として検討したが、結局VxRailの導入を選択した。「ノード(サーバ)を一括で購入したとしても、オンプレミスにVxRailを導入する方が、ホスティング型プライベートクラウドでリソースを調達するよりもコスト効率が高いことが分かった」とヤケル氏は話す。今後3年間で約100万ドルを節約できるとヤケル氏は見込んでいる。
New Belgium Brewingは、ホスティング型プライベートクラウドから完全に離れたわけではない。単に管理性と柔軟性がより優れるインフラに移行しただけだ。4ノードで構成するVxRailのクラスタは、デンバーにあるコロケーション施設に設置している。同社は2020年に計画しているアシュビル醸造所のハードウェア更改の一環として、VxRailの導入規模を拡大させる考えだ。
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