「メール」はなぜ危険なのか? 取るべきセキュリティ対策は?:2020年の新たな脅威【前編】
2019年のセキュリティ調査によれば、メールに起因する攻撃が企業を脅かしているという。なぜメールが狙われ、どのような危険があるのか。取るべき対策とともに掘り下げる。
昨今は日常生活のデジタル化が進んでいるだけではない。生まれながらに多くの技術に触れ、その技術を生活の一部として自然に受け入れる世代が誕生している。生活がますますオンラインでつながる中、サイバーセキュリティの脅威にさらされる機会も広がっている。悪意を持った政府や攻撃者が、さまざまな場面で損害を与えたり、利益を得ようとしたりしているためだ。
併せて読みたいお薦め記事
2019年のセキュリティ事件
- iPhoneの“安全神話”はGoogleが見つけた脆弱性で崩壊か?
- 「Adobe CC」のユーザーデータ750万件が公開 本番データをテスト環境で利用
- Intel製CPUを攻撃する「ZombieLoad」の脅威 見えないはずのデータが見える?
新たなテクノロジーと脅威
初期の攻撃の目的は抗議の意志を示したり、単に自身の技術を自慢したりすることにあった。だがデータの価値が高まるにつれ、攻撃者は金銭目的でデータを盗み出したり、データを人質に取ったりするようになった。攻撃者の注目は一般消費者から企業、病院、政府、地方自治体などに向かっている。これらの組織はシステムの停止(ダウンタイム)を許容できないことを理由に、高騰する身代金を支払う可能性があるためだ。一般消費者を標的にするのと違い、侵入に成功すれば大きな損害を与えることが可能で、攻撃者は少ない労力でより多くの見返りを期待できる。
現代はランサムウェア(身代金要求型マルウェア)が猛威を振るっている。セキュリティのわずかなほころびが数百万ドルの被害につながる恐れがある。しかも、それは身代金の支払いだけによるものではない。ダウンタイムの埋め合わせや侵害を受けたデバイスの交換のために、さらに高額なコストが発生する可能性がある。例えば米ボルチモア市の行政機関システムが受けたランサムウェア攻撃では、攻撃者が要求したのは約7万6300ドル。にもかかわらず、対策に掛けたコストは1820万ドル以上だったと推測されている。
サイバーセキュリティの脅威と複数の潜在的な侵入ポイント、そしてそれらへの対策について考えよう。
誰でも使うからこそ危険なメール
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.