新型コロナ「接触追跡システム」の真価は院内感染の防止か:新型コロナ接触追跡システムの可能性【中編】
新型コロナウイルス感染症の感染経路特定を支援する「接触追跡」システム。医療機関にとって、その活用は院内感染の防止にも役立つという。米国の医療機関や調査会社の話から、その実態を探る。
前編「大学病院が『新型コロナ接触追跡システム』を導入 メリットは何なのか?」はUniversity of Texas at Austin(テキサス大学オースティン校)Dell Medical Schoolの付属病院であるUT Health Austinが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者と接触した可能性がある人に注意喚起を促す「接触追跡」システムを導入した事例を紹介した。続く中編となる本稿は、同院およびPenn State College of Medicine(ペンシルベニア州立医科大学)が接触追跡プロセスを運用する上で重視している課題を説明する。
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接触追跡システムや、主要電子カルテ(EHR:電子健康記録)ベンダーが提供する感染症モニタリングツールなどは「接触追跡のプロセスを効率化してくれる」と、調査会社Forrester Researchの医療アナリスト、ジェフリー・ベッカー氏は考えている。ただしベッカー氏は、これらのツールは「全く新しい機能を提供するのではなく、既存プロセスを改善するものと考えるべきだ」と指摘する。
UT Health AustinのCIOを務めるアーロン・ミリ氏によると、UT Health Austinは、COVID-19患者とその接触相手のデータを収集する中で、データ連携のプロセスを特に重視している。データ連携には非常に複雑なワークフローが必要だ。さまざまなプロセスで収集するデータの中には、米国疾病予防管理センター(CDC)に提出するフォームで入力するものや、オースティンの公衆衛生機関に提出するフォームで入力するものなどがある。HIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)のような法規制を踏まえて、しなければならない質問もある。「接触追跡を適切に実施するには、一連のワークフローの中で、こうした作業を全てこなさなければならない」(ミリ氏)
接触追跡システムが「院内感染」を食い止める
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