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「在宅勤務」に快適さを感じる“本当の理由”調査で判明 テレワークの実態【前編】

在宅勤務などのテレワークが「予想以上にうまくいった」と考える企業では、どのような効果が見られたのか。従来のオフィスが抱える課題とは。アナリストが解説する。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が収束しても、企業は在宅勤務などのテレワークを推進する姿勢を変えない可能性がある。その理由として挙げられるのは、テレワークによる生産性の向上だ。企業と直接雇用契約を結ばない労働者であるフリーランスと、企業とのマッチングサービスを提供するUpwork Globalが実施した調査で、テレワークが生産性を向上させている実態が判明した。

 Upworkの調査は、米国の人事部門や経営幹部1500人を対象に実施した。テレワークはこのまま定着するというのが、同社の結論だ。同社は調査報告書「The Future of Work」の中でこの調査結果を取り上げ、オフィスでの労働からテレワークへの移行が今後も続く理由を掘り下げている。

 今回の調査結果を基にしたUpworkの推計によると、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)前にテレワークをしていたのは、米国内の就労者の13.2%だった。本稿は、報告書を執筆した同社チーフエコノミストのアダム・オジメック氏に、テレワークが定着しつつある理由と今後の動向を詳しく聞く。

「オフィス勤務の無駄」が在宅勤務で顕在化

―― 今回の調査では、回答者の過半数の約56%がテレワークは「予想よりうまくいった」と答え、約35%は「予想通りだった」と回答した。「予想より悪かった」という回答は約10%だった。この数字から分かることは。

オジメック氏 大規模なテレワークが問題なく実施できている企業が少なくないことを意味している。突如としてテレワークを実施する必要が生じ、計画を立てる時間が十分にない回答企業があったことも踏まえる必要がある。

―― テレワークで最大のメリットの一つは通勤の必要がないことだ。今回の調査では管理職の49.0%がこれを挙げた。続いて「不必要な会議が減った」という回答が46.3%、「オフィスで仕事した場合と比べて邪魔が入らずに済む」という回答が41.2%だった。これはオフィス環境について何を物語るのか。

オジメック氏 私たちはオフィスで不必要なことをたくさんやっていて、意図せず互いに多少の邪魔をしているという見方ができる。テレワークによって、1日をより効率的に利用できるようになる。

―― 人事部門の回答者は、全従業員の21.8%が5年以内に完全にテレワークへ移行すると予想している。全従業員のうち約36.5%は、一部の業務をテレワークで実施する見通しだ。これが実現すると、社会はどのように変化するのか。

オジメック氏 テレワークは、生活費が高く過密な都市部に住む必要性を小さくする可能性がある。こうした都市が突如として空になるわけではない。都市の規模はすぐに縮小することはないと推測する。ただし都市部の家賃は低くなる可能性がある。


 後編はテレワークを実施する際の課題と、新型コロナウイルス感染症の収束後も企業のテレワーク体制が継続する理由を掘り下げる。

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