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「仮想デスクトップは物理PCより安全」は本当か? VDIの隠れたリスク調査と事例で探る「デスクトップ仮想化」の今【前編】

IT担当者を対象とした調査では、オンプレミスVDIやDaaSなどのデスクトップ仮想化を利用するメリットとして「セキュリティ」が挙がる一方で、デメリットに「セキュリティ」を挙げる回答もあった。その理由とは。

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 セキュリティ強化の欲求や従業員の生産性向上の必要性が、「VDI」(仮想デスクトップインフラ)をはじめとするデスクトップ仮想化の普及を促す要因となっていることが、調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)の意識調査で判明した。「Are Desktops Doomed?」と題した今回の調査は、同社のシニアアナリストを務めるマーク・ボウカー氏がデスクトップ仮想化市場の動向を見極める目的で、北米のITプロフェッショナル354人の回答を得た。調査期間は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって在宅勤務などのテレワークが広がり、デスクトップ仮想化の需要が高まりつつあった2020年2月下旬から2020年3月上旬だ。

「デスクトップ仮想化は安全」は本当にそうなのか

 ボウカー氏は「企業でローカルPCでのデスクトップ利用が消えゆく運命にあるわけではない」と説明する。ただし企業は「DaaS」(Desktop as a Service)を含むVDIなどのデスクトップ仮想化にメリットを感じる傾向が強まっていると指摘する。「企業は仮想デスクトップの方が、ローカルPCのデスクトップよりも安全性が高いと見なしている」と同氏は語る。

 IT担当者はデスクトップ仮想化の最大のメリットとして、セキュリティの強化を挙げた。一方で不安として挙がったのが、セキュリティが破られる可能性だ。矛盾する2つの回答にボウカー氏は「デスクトップ仮想化はセキュリティに優れているが、セキュリティが破られた場合に影響を受けるエンドユーザーが増える可能性がある」と解説する。デスクトップ仮想化は「手持ちの卵を全て1つのかごに入れるようなものだ」と同氏は言う。

 攻撃者が個別のPCを狙って攻撃を仕掛ける場合、そのPCのエンドユーザーしか影響を受けない可能性がある。VDIなどのデスクトップ仮想化インフラが攻撃されると、事業や従業員全員に大きな影響が出る恐れがある。

 デスクトップ仮想化の課題に「予想以上のコスト」を挙げる企業もあった。この理由について、デスクトップ仮想化を導入するにはインフラへの投資が必要になるためだとボウカー氏は説明する。オンプレミスのインフラにVDIを構築するのであれば、サーバやストレージ、ネットワークに投資をする必要があり、DaaSであればクラウドサービスの利用料金がかかる。

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