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病院が新型コロナ対策作業の“脱Excel”に役立てた医療ITツールとは?パンデミックで変わる医療ITツールの役割【後編】

医療ITベンダー各社は、新型コロナウイルス感染症と戦う医療機関を支援するために新ツールの発売を早めたり、既存ツールに新機能を追加したりしている。既にこうした新ツールや新機能を生かしている医療機関もある。

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 米国の電子カルテ(EHR:電子健康記録)ベンダーのCernerやEpic Systems(以下、Epic)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機に際して既存ツールの最適化を目指している。PointClickCare TechnologiesやMedical Information Technology(MEDITECH)などの競合ベンダーも、既存ツールの用途変更を支援したり、新ツールをリリースしたりしている。パンデミック(世界的大流行)と戦う医療機関を支援するための無償製品や低コストの製品も、医療IT市場に次々に登場している。

 PointClickCareは、COVID-19症例を監視するツールを医療機関に提供するために、開発予定を早め、2020年4月末に感染管理ツールをリリースした。同社で高度看護部門のバイスプレジデント兼統括マネジャーを務めるラス・デブリースト氏によると、もともと同社はこのツールを2020年秋にリリースする計画だったが、COVID-19危機を受けて、開発スケジュールを約6カ月前倒しして市場投入した。

COVID-19で生じた「Excel」の手作業を自動化

 この新しい感染管理ツールは、COVID-19に特化したものではない。だがCOVID-19のパンデミック中に役立つよう、一部の感染報告機能を強化している。エンドユーザーがこのツールを使用する場合、まず電子カルテの専用ダッシュボードにアクセスする。このダッシュボードは、施設内で報告された全てのCOVID-19感染状況と、感染した患者全員の状況を表示する。

 米国の3つの州で高度介護施設を運営する医療機関Marquis Companiesは、PointClickCare製ツールを2010年ごろから利用している。Marquis Companiesで看護コンサルタントを務めるビッキー・ノルドビー氏によると、同機関は今回のPointClickCareの新しい感染管理ツールをいち早く導入した。

 Marquis Companiesはこの感染管理ツールをもっぱら呼吸器感染の管理に使用していたが、現在はCOVID-19向けに使用しているという。このツールを使う前、医療従事者はペンと紙を使うか、表計算ソフトウェア「Microsoft Excel」のスプレッドシートを使って呼吸器感染の状況をドキュメント化し、その情報を1日の終わりにノルドビー氏にメールで送っていた。「PointClickCareの感染管理ツールがあれば、この処理を自動化できる」と同氏は説明する。

 ノルドビー氏によると、Marquis Companiesのスタッフは朝出勤したら、まず全ての関連施設にいる患者の状況に素早く目を通す。「PointClickCareの電子カルテは目の前の状況を示している。外部の情報源から得た状況ではない」(同氏)。患者の状況に疑問があれば、即座にその患者の臨床記録も閲覧できる。

COVID-19対策で新機能を開発する医療ITベンダー

 MEDITECHも、COVID-19パンデミックの最中に新機能をリリースした。同社アソシエイトバイスプレジデントを務めるジャネット・デローシュ氏によると、同社ツールの遠隔医療、分析、レポート処理、リスク管理などの分野に幾つかの新機能を導入した。現在顧客の需要が最も高い分野は次のようなものだという。

  • 動画によるバーチャル訪問
  • 患者のリスク評価と管理
  • ソーシャルディスタンス(社会的距離)の管理
  • 感染リスクの軽減
  • 個人用防護具(PPE)の削減

 今後MEDITECHは生体情報監視、レポート・分析、オンライン診療の優先順位付けに重点を移すとデローシュ氏は述べる。「顧客が現在直面している課題に、最善の形で対処できる手法を確実に提供できるよう、当社は『緊急事態管理モード』に入っている」(同氏)

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