コロナ禍で「アナリティクス」はどのように使われているのか:調査で判明
新型コロナウイルス感染症の拡大前と比較して、企業の「アナリティクス」への依存性が高くなっていることが、BIベンダーSisenseの調査で明らかになった。アナリティクスはどのような企業に、どう使われているのか。
BI(ビジネスインテリジェンス)ベンダーのSisenseが米国のデータプロフェッショナルとビジネスエグゼクティブを対象に実施した調査によると、BIおよびアナリティクスの専門家は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の最中および今後のアナリティクスの役割について楽観的であるようだ。回答者500人中49%は、以前よりもはるかに多くアナリティクスを利用していると答えている。
コロナ禍で「アナリティクス」はどう使われているのか
併せて読みたいお薦め記事
コロナ禍でビジネスを守るのはデータ
- コロナ禍で「AIをサプライチェーンに使う」企業が急増か?
- 新型コロナでTableau、SAS、Qlikが無料提供したデータ分析ツールとは?
- 新型コロナ対策に「BI」などのデータ分析ツールはどのように役立つか
アナリティクスがビジネスを変える
「データとアナリティクスは、パンデミックの直接的な影響を受けた企業の意思決定を支援している」と、Gartnerのアナリストであるリタ・サラム氏は語る。組織は持続可能性や回復力、応答性、俊敏性のために、長期的に組織やビジネスモデル、サプライチェーンを再考し、再構築する必要があるとサラム氏は指摘。これらを支援するために「データが重要な役割を果たす」と説明する。
Sisenseの調査によると、回答者の67%がパンデミックの影響でビジネス機会を損失した。このことがアナリティクス利用の増加につながっていると同社はみる。企業は全部門にわたってアナリティクスを利用する新たな機会を見つけていることも分かった。
「State of BI & Analytics Report 2020:Special COVID-19 Edition」と題したこの調査のレポートは、中小企業(従業員数51〜200人)の方が、パンデミック時にアナリティクスの採用が容易であることを示唆している。中小企業の68%が、アナリティクスを事業運営に利用している。56%の企業は財務に、50%の企業は販売にアナリティクスを使っている。製品にアナリティクスを利用している企業は45%だ。
コロナ禍の店舗における最適な人員配置はどうあるべきか。より良いサービスを実行するためには何が必要か――。データを基に考えようと、5年や10年前にさかのぼってみても、過去のモデルのいずれも当てはまらない。COVID-19に見舞われた前例は存在しないからだ。「そうした中でどのようにデータを利用すればいいのか」と、コンサルティング企業CAUSE + EFFECT Strategyのプレジデント、ジョン・ローリー氏は問いかける。
アナリティクスを使用して予算計画を立てる大企業とは異なり、中小企業はBIとアナリティクスをコミュニティーと顧客サービスのために役立てることに焦点を当てている。小規模企業はデータを使用して、COVID-19のような状況に迅速に適応できる。「小規模な企業では“お役所仕事”のようなプロセスが多くはないためだ」とローリー氏は述べる。
企業は課題に対処するためにデータを使用している。レポートによれば、55%の企業がデータを利用して効率を改善し、変化と結果を予測している。広範なデータおよびアナリティクスは、企業の間で以下のような目的のために使用されていると、Gartnerのサラム氏は述べる。
- 状況の認識と対処
- 疾患の拡大の特定
- 疾患の治療法の特定
- 契約の追跡
- 医療リソースの最適化
- エンドツーエンドのサプライチェーンシナリオ計画
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.