学校は新型コロナ終息後の教育に「データ分析」をどう生かすべきか?:オンライン教育をより良くするデータ分析【後編】
教育機関は、新型コロナウイルス感染症の脅威が過去のものになったときに備えて、データ分析をどのように進めるべきなのか。データ分析を実践する教育機関の取り組みから探る。
オンライン教育は、一般的な幼稚園、小学校、中学校、高等学校にとっては新しい未開拓の分野だ。新型コロナウイルス感染症の流行によって、学校は大規模なオンライン教育とそれに必要なカリキュラムの成果指標を再考するとともに、今後もオンライン教育が必要になる場合に備えてカリキュラムを継続的に見直さなければならなくなった。
「今回の取り組みで興味深かったのは、オンラインでも問題なく学習指導できることが証明されたことだ」。学習者に主眼を置いた初等中等教育機関における教育活動のデータ分析に取り組んでいる、米バージニア州のラウドン郡公立学区(LCPS:Loudoun County Public Schools)のレイチェル・ジョンソン氏はこう語る。
新型コロナ終息を見据えたオンライン教育の見直しが必要
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状況が刻々と変化しているため、LCPSは現時点では、オンライン教育に関して収集した学習者のエンゲージメントデータを深く分析できていない。同学区にとって、教育分野におけるデータ分析は未来を見据えたものであり、プロセスを確立するための調整にも取り組んでいるという。
新型コロナウイルス感染症が終息したときにやるべきなのは「オンライン教育を評価して、うまくいったことといかなかったこと、調整が必要なことを突き止める作業だ」とジョンソン氏は指摘。「教育分野におけるデータ分析が成熟するにつれ、考慮すべき事項が見えてくるだろう」と語る。
「ニューノーマル」への適応に向けたLMS活用
「ニューノーマル(新たな常識・価値観)を受け入れながら大学構内で講義を受ける形に戻るときは、ここ数カ月で収集した学生のデータを最大限に活用することが重要になるだろう」。マイアミ大学のモリー・ミラー氏はこう話す。同大学はオンライン教育による学生への影響を調べるために、オープンソースソフトウェア(OSS)の学習管理システム(LMS)「Canvas」を活用して学生のデータを収集している。収集した膨大な量のデータを各学部のデータアナリストと共有して、データの整理を進行中だ。このデータは資料の共有や評価にどの程度の時間をかけたのか、教員がCanvasをどの程度使いこなせているのかといったデータを含む。
マイアミ大学はCanvasのプッシュ通知機能を活用し、教員に対して、自身の講義を受講する学生のデータを閲覧できるようにすることを検討しているという。教員の教育活動が大学の基準を満たすようにするためだ。プライバシーを確保しながらエンゲージメントデータを分析できるようにすることで、教員が学生のエンゲージメントを評価したり、学生自身がカリキュラムの履修状況を把握して無事に卒業できるようにしたりする一助となる可能性もある。
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