「Internet Explorer」が終わる日 代役はEdgeでもChromeでもない“あのブラウザ”か:「Microsoft 365」でのサポートが終了
「Internet Explorer」(IE)で「Microsoft 365」が正常に動作しなくなる。問題はそれだけではない。専門家は「IEがWebブラウザの選択肢から外れる日に備えて、対策をすべきだ」と警鐘を鳴らす。
Microsoftのサブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」が、2021年にWebブラウザ「Internet Explorer 11」(以下、IE 11)で正常に動作しなくなることが明らかになった。かつて支配的なWebブラウザだったIEは、一段と影が薄くなる。
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Microsoftは「Edge」で挽回できるか
2020年8月、MicrosoftはMicrosoft 365におけるIE 11のサポートを1年以内に終了する計画を発表した。まず同社は2020年11月30日にユニファイドコミュニケーションツール「Microsoft Teams」のIE 11での動作を制限し、正常な動作を保証しなくなる。他のMicrosoft 365のアプリケーションおよびサービスも同様に、2021年8月17日をもってIE 11での動作保証をやめる。
Microsoftはこの発表の中で、IE 11を廃止するわけではなく、IE 11との依存関係にあるアプリケーションは引き続き動作するだろうと説明している。「Windows 10」の更新プログラムを通じてIE 11の更新プログラムの提供を続けるとの説明もある。ただし、この発表はIEの終わりが近いことを示している。業界の専門家は、ユーザーは他のWebブラウザを使う準備を整えなければならないと指摘する。
気になるIEの“代役”は
IEのブランドは低迷している。MicrosoftはIEに代えて、2015年にリリースしたWebブラウザ「Microsoft Edge」を普及させようとしたが、Edgeの市場シェアは伸び悩んだ。そこでMicrosoftは巻き返しを目指し、2020年1月、オープンソースのWebブラウザ「Chromium」のコードをベースに再開発したEdgeを投入した。ChromiumのソースコードはGoogleが開発し、同社のWebブラウザ「Google Chrome」で使用されているものだ。Microsoftは2021年に、レガシー版Edgeのサポートを終了する。
かつてIEはWebブラウザ市場を席巻していたが、近年はその存在感を失っていた。Webトラフィックの分析を手掛けるStatCounterによると、IEの全世界における市場シェア(トラフィックベース)は2000年代初頭に90%程度だったものの、2020年は1%台まで落ち込んでいる。Webブラウザ市場は、2020年9月時点で66%台のシェアを持つChromeが支配しており、Appleの「Safari」が16%台でそれに続いている。
移行の準備
IE 11は広く使われているわけではないが、企業の重要業務を処理するレガシーアプリケーションの動作環境としてIE 11が利用されているケースは珍しくない。こうしたアプリケーションは開発者が更新しなくなっているため、動作させるには古いハードウェアやソフトウェアが必要になっているのだ。
「大抵の場合、古いシステムをきちんと機能する最後の瞬間まで使い続けるのは、リスクはあるが安上がりで簡単な方法だ」。調査会社Constellation Researchのアナリスト、ディオン・ヒンチクリフ氏はそう語る。
IEは最期の時が迫っている。「いまだにIE 11を必要とする企業も、別の選択肢を探し始める必要がある」。ITサービス会社Emmanuel Technology Consultingのオーナーであるウィリアム・ウォーレン氏はそう語る。
ウォーレン氏が顧客に対して、IEの代わりに使用することを推奨しているWebブラウザは、Chromeか「Firefox」だ。同氏はFirefoxの方がChromeよりもスムーズに動作し、プライバシーの扱いが優れていると捉えているため、Firefoxを好んでいるという。プライバシーの扱いに関して、Chromeはcookieを使ってユーザーの閲覧行動を追跡できるようにしていたと批判された過去がある。
ITコンサルティング会社TNTMAXの技術ディレクターを務めるダニエル・ビート氏は、IEに依存している顧客に対して「アプリケーションやWebサイトをアップデートして、複数のWebブラウザをサポートできるようにすべきだ」と勧めている。特定のWebブラウザが古くなって正常に動作しなくなったときのために、そうした備えが必要だ。
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