テープ新規格LTO-9の「容量はLTO-8の2倍」が実現しなかった理由:新世代テープ規格「LTO-9」のインパクト【前編】
テープの新規格「LTO-9」の内容が明らかになった。容量をはじめ、「LTO-8」に対してどのような点が変わったのだろうか。具体的に見てみよう。
テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)の新規格「LTO-9」は、1カートリッジ当たりの容量が18TB(圧縮時は45TB)になることが決まった。2021年にLTO-9の準拠品が市場に登場する見通しだ。
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2020年9月、LTOを策定するHewlett Packard Enterprise(HPE)、IBM、Quantumの3社は、LTO-9の仕様とロードマップを発表した。LTO-9の非圧縮時容量18TBは、前世代の「LTO-8」の12TBから50%増になる。当初計画の「2倍」よりは低い増加率だ。なぜこのような変更があったのか。
容量倍増が実現しなかった“納得の理由”
「大量のデータの長期保存にLTO-9は適している」とQuantumのプロダクトマーケティングマネジャー、ダイアナ・サラザー氏は語る。調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリスト、クリストフ・バートランド氏は「LTO-9は、データをすぐに使用できる状態で保管しておく『アクティブアーカイブ』に向いている」と話す。
前述の通り、LTO-9の非圧縮時の容量は18TB、圧縮時の容量は45TB。当初計画よりも容量は小さくなったが、バートランド氏は「これは非常に大きな数字だ」と評価する。一方で、LTOは2000年に登場した「LTO-1」から2〜3年ごとに新世代が出て、その度に容量はほぼ倍増してきた。LTO-9の容量も当初計画では、前世代の2倍である非圧縮時24TB、圧縮時60TBだった。LTO-8の容量は非圧縮時12TB、圧縮時30TBだ。
「目標の達成にはさらに時間が必要だった」と、HPEのプロダクトマネジャー、ローラ・ロレド氏は説明する。容量の増加率は抑える一方で2〜3年の開発期間を維持し、市場の需要に応えることにしたという。
企業は保有するデータ量が増大を続ける課題に直面している。ESGのシニアラボアナリストを務めるビニー・チョインスキー氏は「企業が必要とするストレージ容量は増え続けている。大容量のデータを低価格で保存できる製品には常に需要がある」と指摘する。
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