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新型コロナに挑む医療機関を支える「3つのIT」とは? 採用を阻む課題は?VDC Research Groupの市場調査レポートから

新型コロナウイルス感染症との戦いの最前線に立つ医療機関にとって、医療の質と患者の安全を共に高めるのに有用なITとは何か。採用に当たって直面する課題とは何か。調査レポートの内容を基に紹介する。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって停滞した産業は少なくない。COVID-19による突発的で予測不能なリスクによって、社会と産業のあらゆる要素がどのように機能しているのかを改めて見直すことが急務となった。今も急速に変革が進んでいるが、近い将来にはさらに局所的な業務改革のようなすぐに実現可能な改革がなされ、長期的には従来型ビジネスの再構築が起きるだろう。

 さまざまな産業が多大な損害を受けているため「どの産業が最もCOVID-19の影響を受けているか」を指摘するのは困難だが、医療機関が受けている影響は特に深刻だ。本稿は調査会社VDC Research Groupによる市場調査レポート「Rugged Handheld Computers and Smartphones for Line-of-Business Applications」の内容を基に、医療機関がCOVID-19に対処するために活用できる技術と、その採用時に直面する課題を解説する。

COVID-19が顕在化させた「医療におけるデジタル戦略の必要性」

 患者も、最前線で働く医療従事者も、COVID-19の脅威にさらされ続けている。この危機を乗り越えられるかどうかは「医療業界の垣根を越えたオペレーションを実現すること」「短期・長期の両方で公衆衛生を改善すること」にかかっている。その中で医療業界は人と人の接触を減らすのに役立つツールの採用を加速させ、より深い洞察を持って次のステップに到達しなければならないという、非常に大きなプレッシャーに直面している。

 医学博士のシリナ・キーサラ氏、アンドレア・ジョナス氏、ケビン・シュルマン氏は、2020年6月に医学雑誌『New England Journal of Medicine』(NEJM)で公開した記事「Covid-19 and Health Care’s Digital Revolution」の中で次のように述べている(丸かっこ内は訳注)。

米国のヘルスケア業界は、患者と臨床医との対面コミュニケーションという伝統的に必要だったやり方に基づいている。臨床のワークフローの有効性や、対面診療によって(医療機関が)得られる経済的インセンティブが、対面診療のやり方を助長してきた結果、この危機においても救急科や外来待合室に患者を集めてしまっている。全世界の医療機関がCOVID-19症例の急増に備える中、医療の提供方法を変革し、デジタル技術の力を借りて医療の提供効率を拡大するための対策が求められている

コロナ禍の医療機関に役立つIT

 COVID-19が将来の公衆衛生に壊滅的な影響を及ぼす可能性を軽減するためにも、伝統的にアナログな医療機関ほどデジタル化による変革を受け入れる柔軟性が必要だ。幸いなことに、コロナ禍での医療機関の安全な運営に役立つ可能性のある技術は幾つもある。

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