企業は解雇とどう向き合うべきか【第3回】
「思いやりのある解雇」とは何なのか? 何をすればよいのか?
従業員を解雇しなければならない場合、共感と思いやりを持って解雇を進めることが、職場を離れる従業員にとっても、職場に残る従業員にとっても不可欠だ。解雇の際に配慮すべき点をまとめた。
本連載は4回に分けて、企業が解雇とどう向き合うべきかを解説する。第1回「その解雇、本当に必要? 踏み切る前に検討したい『再教育』の意義」は解雇を回避するための手段である「再教育」、第2回「業績悪化でも企業が『解雇』を最終手段にすべき理由と、検討すべき代替策」は「従業員自身からの支援」を引き出す重要性と、解雇を最終手段にすべき理由を解説した。
思いやりを持って従業員の解雇を進めるには、利益確保という考えを捨て、従業員がその先経験するであろうことを真剣に考える必要がある。
「従業員の解雇はいつだって難しい」と、シンガポールを拠点にデジタル署名サービスを展開するCocoSignでマーケティングマネジャーを務めるケルシー・チャン氏は語る。チャン氏によると、企業が思いやりを持って解雇を進めることは、人道的配慮を示すだけでなく、職場に残る従業員の気持ちや自社への忠誠心にも影響する。
まずは思いやりのある解雇とはどういうことかを理解することが重要だ。
そもそも「思いやりのある解雇」とはどういうことなのか
「思いやりとは、相手の苦悩を和らげること。相手の苦悩を和らげるのが思いやりのある解雇だ」と、従業員育成コンサルティング会社Impact Groupでプレジデントを務めるケネス・シーゲル氏は話す。企業は、解雇が従業員にもたらす痛みを理解し、その先の苦悩を和らげるのに役立つことを提供する必要があるとシーゲル氏は指摘する。
解雇がやむを得ないのなら、関連する全ての法的影響を確認し、正しい方法で解雇しなければならない。「思いやりのある解雇を実現するなら、退職条件を提示するだけで済ませてはいけない」とシーゲル氏は強調する。解雇を丁寧に進めるとすれば、当然ながら相応の時間がかかる。
ここからは思いやりのある解雇を実現するためのヒントを紹介する。これらのヒントは、解雇の目標を見直し、職場を離れる従業員に親身に寄り添って退職の道を用意するために役立つだろう。
退職者に合わせた退職条件の検討
解雇の苦しさを緩和するのに、全ての従業員が同じようなサポートを必要とするわけではない。従業員の中には配偶者の保険でカバーできるという理由で、健康保険を必要としない人がいる。育児のために在宅勤務職に移るなど新しい仕事を探すために、より多くの支援を必要とする人もいる。就職あっせん、履歴書サービス、別の職種のトレーニングといった支援を希望する人もいる。
「画一的な退職条件を提示するのではなく、必要なことを従業員に尋ねる必要がある」とシーゲル氏は話す。企業は財政上の制約があり、あらゆる支援策を提供することはできない。それでも「職場を離れる従業員にとって、最も有意義な形で提供できるものを提示すべきだ」と同氏は強調する。
職場を離れる従業員に選択肢を幾つか提示することが重要だ。解雇を告げられた従業員は、苦痛やショックが大き過ぎて一時的にはっきりと考えられなくなっている可能性がある。幾つか選択肢を示すことで、従業員が自身の優先事項に集中し、その状況への無力感を減らす助けになるだろう。
「従業員のショックを和らげるよう支援してください」とITコンサルティング企業AvanadeでHRトランスフォーメーションディレクターを務めるデイブ・ガルテンベルク氏は述べる。退職手当以外に、健康保険の給付金、再就職支援コーチング、LinkedInの同名ビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でのつながりや紹介も選択肢になり得るとガルテンベルク氏は話す。
次回「社員に『解雇』をどう伝えればよいのか? 残った同僚のケアは?」は、企業が従業員に解雇を伝える際の策と、職場に残る従業員のケアについて解説する。
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