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「5G」と「LoRaWAN」の根本的な違い なぜ併用すべきなのか?IoTで“親和性”を発揮

「5G」と「LoRaWAN」は特性の異なる無線技術だ。とはいえ互いに補い合う特性もあり、特にIoTで使う場合の親和性は高い。その理由は。

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 「5G」(第5世代移動通信システム)が、2020年代の新しい技術として注目株であることは間違いない。世界の主要キャリア(通信事業者)は、5G仕様のネットワークへのアップグレードを進めている。

 スマートフォンのユーザーやアプリケーション開発者は、スループット(データ伝送速度)向上とレイテンシ(遅延時間)短縮など、5Gがもたらす目覚ましい進化を心待ちにしている。

なぜ「5G」とLoRaWANを併用すべきなのか

 5GはIoT(モノのインターネット)においても非常に強力な技術になる。高速で大容量のデータ伝送、ネットワークの仮想的なセグメンテーション(分割)といった進化によって、「4G」(第4世代移動通信システム)やそれ以前の通信技術では考えられなかったビジネスチャンスが広がる。大量のデータを即座に転送しなければならないIoTのアプリケーションは5Gを必要とするだろう。

 IoTアプリケーションの中には少量のデータを送信する、リアルタイムではなく一定の時間間隔でデータを送信する、といった程度の通信しか必要としないものもある。そうしたIoTアプリケーションに5Gは生きるだろうか。おそらくこの種のIoTアプリケーションでは、5Gの性能は過剰になるだろう。

 キャリアが5Gへのアップグレードを進めるのは、まずは人口密度の高い地域のみになると考えられるため、中小規模の都市や大都市から離れた地域ですぐに5Gを利用することはできない。キャリア以外の企業が独自に構築するプライベートな5Gネットワークを利用する手段もあるが、これは導入と運用が複雑かつ高コストで、実現は容易ではない。

 こうした5Gの不足を補うのが「LoRaWAN」(Long Range Wide Area Network)によるネットワークだ。LoRaWANは「LoRa」(Long Range)という変調方式を使い、狭帯域で長距離のデータ伝送ができる。利用する周波数帯の免許は不要だ。

 IoTのネットワークとしてLoRaWANには多様なメリットがある。4Gや5Gよりも導入コストが安価に済み、電力効率が非常に高い。一定の間隔でのみデータを転送するようにIoTデバイスを設定しておけば、バッテリー電源で数年間運用を継続することも可能だ。これは電力網が届かない遠隔地のセンサーを運用するような場合に、特に大きなメリットになる。

LoRaと5Gは敵か味方か

 LoRaWANと5Gは親和性があり、補い合う関係にある。5Gは大容量の通信を必要とするIoTアプリケーションの大半に有用だ。それに対してLoRaWANは、農業、石油、ガス、公共事業、運輸といった分野の“隙間市場”を開拓するだろう。ネットワーク運用を簡素化し、かつコストを安く抑えたい場合に特にLoRaWANの特性が生きる。

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