「個人向け5G」よりも「企業向け5G」の方がなぜ魅力的か:企業こそ注目すべき「5G」【前編】
「5G」は「4G」までの移動通信システムと比べて、企業向け用途の重要性が指摘されがちだ。その背景には何があるのか。
「5G」(第5世代移動通信システム)より旧世代の移動通信システムを評価するとき、専門家は個人向けの用途に焦点を当てる傾向があった。だが5Gの場合は、むしろ企業向け用途の重要性が高い。
なぜ企業向け5G市場に注目すべきか
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「5G」を生かす使い方とは
通信事業者が5Gサービスを提供するには多額の投資が必要になる。市場調査会社Allied Business Intelligence(「ABI Research」の名称で事業展開)のマリク・サーディ氏は「通信事業者は個人向けのサービスだけで十分なROI(投資対効果)を得ることはできない。企業向け市場にも注力する必要がある」と語る。
5Gの企業向けの市場規模は、2036年までに個人向けの市場を追い抜くという予測もある。こうした予測を受けて、5Gへの投資は「2030年までROI目標を達成できない長期投資だと見ておかなければならない」とサーディ氏は述べる。ただし将来的に、5Gは企業向け市場が主要な収益源になり「10年後のドル箱になるだろう」と同氏はみる。
ABI Researchによると、企業向け市場がないとしたら5G事業のROI目標の達成は2034年か2035年までかかる。だが仮に2025年に企業向け市場に対して5Gを投入すれば、5年後の2030年にはROI目標の達成が可能になると予測できるという。
5Gは「4G」(第4世代移動通信システム)までの旧世代の移動通信システムよりも速いスピードで開発が進んでいる。「2030年前後に5Gへの十分な投資対効果が得られるかどうかを左右するのは企業向け市場だ」とサーディ氏は繰り返し強調する。
Intelのアシャ・ケディ氏によると、標準化団体「3GPP」(Third Generation Partnership Project)が策定した5Gの仕様「リリース17」には、企業向けの機能が多く含まれている。これは旧世代の規格が個人向け機能を中心にしていたのとは対照的だ。
5Gが世界経済にもたらす好影響も期待されている。5Gは小売、製造、鉱業、医療などさまざまな業界に役立ち、世界経済振興の後押しとなる可能性がある。特に5Gの高速なデータ伝送速度や多数デバイスの同時接続性などの特徴に対する期待が高まっている。
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