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コロナ禍で「SD-WAN」に起きた進化 注目のリモートアクセス機能とは?「SD-WAN」の注目すべき7つのトレンド【前編】

企業のSD-WANに対するニーズは、今後も継続するだろう。これに伴い、ベンダー各社はSD-WANに関連する各種の機能を追加している。今後注目すべき動向を紹介する。

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 仮想化技術でWANの運用管理を効率化する「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)は、ユーザーエクスペリエンス(UX)の強化、セキュリティの向上、クラウドサービスへの快適な接続などを実現するために重要だ。

 リモートアクセスやIoT(モノのインターネット)デバイスの接続、セキュリティとネットワークのアーキテクチャ「SASE」(Secure Access Service Edge)の実現、「SD-Branch」(ソフトウェア定義ブランチ)機能の提供など、SD-WAN製品が対象とする領域は広がっている。IaaS(Infrastructure as a Service)やSaaS(Software as a Service)への接続、オーケストレーターによる一元管理などの機能も多様化してきた。

2020年のSD-WAN市場を振り返る

 2020年のSD-WAN市場は引き続き拡大の傾向にあった。だが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミック(世界的大流行)の影響で成長のペースは鈍化した。ITへの投資を減速させた企業が相当数あるからだ。特に、多くの従業員がテレワークを実施する拠点への投資は減っている。ホテルや小売、レストランなど多数の拠点を抱える業種がパンデミックの影響を大きく受けた。SD-WAN製品を使って拠点のITをアップグレード中の企業の投資計画にも影響があった。

 そうした中でも、Hewlett Packard Enterprise(HPE)がSD-WANベンダーのSilver Peak Systemsを買収し、Palo Alto NetworksもSD-WANベンダーのCloudGenixを買収するなど業界の再編が進んだ。ネットワークやセキュリティ分野で著名なさまざまなベンダーがSD-WAN製品を提供するようになった。

 こうした動きを受けて、2021年に企業のIT部門はSD-WAN分野でどのような点に注目すべきだろうか。

強化が進む「リモートアクセス機能」とは

 COVID-19の感染拡大でテレワークが急速に広がったことで、オフィスで働く従業員の大半が在宅勤務になっても生産性を維持できることが明らかになった。調査会社のDoyle Researchは、将来も数千万人単位の労働者が週の半分以上をテレワークで勤務することになると予測する。通勤の必要性は低くなり、仕事の時間は業務の実働時間のみになる。会議のスケジュールも関係者間で合わせやすくなる。

 こうした中で企業のIT部門が重要視しているのは、テレワークを実施する従業員に対して効率的かつ安全なリモートアクセスの手段を提供することだ。今後も長期的にVPN(仮想プライベートネットワーク)を利用することが適切とは限らない。IT部門はSASEをはじめとする、効率的なネットワークとセキュリティ対策を統合する手段を探し求めている。

 従業員がSD-WAN製品を自宅で利用する場合は、企業はライセンス費用などのコストが別途かかることに注意する必要がある。それでもSD-WAN製品はネットワークの信頼性向上や遅延の低減、アプリケーションの快適な動作を実現する包括的な手段として有効だ。重要なデータの損失につながる恐れがあるマルウェアやフィッシング(個人情報を入手する詐欺)を防ぐセキュリティ対策を同時に提供するSD-WAN製品もある。全てを信頼しないゼロトラストセキュリティの概念を基にしたネットワークセキュリティ技術である「ゼロトラストネットワークアクセス」(ZTNA)の機能を組み込んでいるSD-WAN製品もある。

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