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「5G」は「無線LAN」よりもセキュリティ面でやや有利か? その根拠とはセキュリティで比較する「5G」と「無線LAN」【後編】

「5G」はデバイス、「無線LAN」はユーザー中心の認証方式を採用する。この違いだけでは両者のセキュリティ面での優劣は判断できない。ただし別の要素が5Gにセキュリティ面での優位性をもたらすという。それは何か。

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セキュリティ | 無線LAN


 前編「『5G』と『無線LAN』のどちらが安全か? そもそも判断できない?」に引き続き、「5G」(第5世代移動通信システム)と無線LANのセキュリティの違いを解説する。5Gと無線LANの認証方式を比較すると、デバイスを認証するか、ユーザーを認証するかというアプローチの違いがある。5Gはデバイス認証を中核にしているのに対して、企業向け無線LANは総じてユーザー認証を採用している。

デバイス認証中心の5G、ユーザー認証中心の無線LAN

 デバイス単位の厳密な認証方式を採用する5Gでは、ユーザーやデバイスに代わって物理SIMカードまたはeSIM(組み込み型SIM)が認証情報を提供する。この仕組みは「ユーザーが意識することなくシームレスに進み、管理上の観点からも負荷が少ない」と、プライベートモバイルネットワークインテグレーターCelonaの共同創業者で最高技術責任者(CTO)を務めるメメット・ヤブズ氏は語る。デバイスが認証を通過した後は、各アプリケーションの認証にはシングルサインオン(SSO)など社内に導入済みの個別の認証方式を使用する。

 無線LANの場合、ユーザー名とパスワードを使ったシンプルなユーザー認証か、複数の認証情報を使った多要素認証によるユーザー認証で、ユーザーにネットワークへのアクセスを許可する。ユーザー認証は、十分な水準のネットワークアクセス制御を実現する。ただしユーザーである従業員の異動や退職などに伴って認証情報の変更が必要になることがあり、他の認証方式より管理上の負荷がかかりやすい。IoT(モノのインターネット)デバイスが自律的に動作するネットワークでは認証対象となるユーザーが存在しないため、デバイスを認証する方が理にかなう。

 それでもユーザー認証を中心とした無線LANの認証方式自体に問題はない。企業がユーザーの追加から削除までのライフサイクル全体においてユーザーを適切に管理し、認証を強化する手段を採用すれば、無線LANの認証方式の安全性は他の無線ネットワークの認証方式に引けを取らない。

5Gにセキュリティ面での強みをもたらす“あの要素”とは

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