不正取引の検出は人工知能にお任せ
コロナ支援金も標的に? 「EC詐欺」のひど過ぎる手口
新型コロナウイルス感染症拡大を受けてECが活性化している一方、ECの盲点を突いた詐欺行為も目立っている。どのような手口があるのか。身を守るための対策は。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が小売りのオンライン化を促進し、Eコマース(EC:電子商取引)が活性化している。その中で問題になっているのは、EC関連の詐欺の増加だ。
AI(人工知能)技術を使って詐欺を検出・防止するソフトウェアを手掛けるFraud.netは、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)が始まった頃、米国のECにおける詐欺事件が約4割増えたと説明する。米国の公認不正検査士協会(ACFE:Association of Certified Fraud Examiners)の調査では、オンライン小売業者の77%が2020年8月時点で「詐欺の増加を観測した」と回答した。
支援金も標的に? EC詐欺の“あの手口”
ECを舞台とした詐欺は具体的には、チャージバックやIDの不正利用などを指す。チャージバックとは、第三者によるクレジットカードの不正利用に対し、クレジットカード会社が売り上げを取り消してユーザーに返金するものだ。ユーザーが守られる一方で、販売元には損害が生じる。専門家はCOVID-19のパンデミックの長期化によって、ECの詐欺は今後も増えると予測している。詐欺を仕掛ける犯罪者は多岐にわたって消費者情報を収集し、不正利用する恐れがあるという。
米国では消費を促すために、政府が国民に支援金を提供している。Fraud.netで事業運営部門のバイスプレジデントを務めるダン・クレブス氏は、支援金も詐欺師の標的になり、多大な損害が発生しかねないと指摘する。
ECの企業は詐欺に対して手をこまねいているわけではない。クレブス氏によると、Fraud.netのクラウドサービス形式の詐欺防止ツール群に関心を示す企業は増えている。このツール群はAI技術を活用し、詐欺を検出できる。
小売業はCOVID-19のパンデミックをきっかけとして、販売のオンライン化により一層力を入れるようになった。実店舗の閉鎖が相次ぐ中、小売業はオンライン化を進めざるを得なくなっている。ECのシステムを販売するSignifydでデータサイエンス部門のバイスプレジデントを務めるスワミ・バイシアナササミー氏は「オンラインでの注文が殺到し、それに伴って詐欺も増えている」と説明する。
5000項目を評価、“鋭い目”で詐欺を検出するAI
Signifydのシステムは、チャージバックによる損害をはじめ、ECの企業を詐欺から守るようにしている。機械学習を駆使し、データの約5000個の項目を評価。異常な取引や詐欺が疑われる取引を検出してブロックする。
ECの詐欺の増加を背景に、この数カ月間、Signifydのツールのユーザー企業が増えているという。ECが活発化しやすい夏の休暇シーズンに向けてさらに伸びる見込みだ。
最近、商品を受け取っているにもかかわらず「商品を受け取っていないので、返金してほしい」と虚偽の要求をする詐欺が目立っている。2020年9月に、Signifydが小売業を対象に実施した調査では、回答者である米国の消費者1500人のうち約3割が、こうした虚偽の返金要求をしたと認めた。2020年1月の同様の調査では、この割合は約14%だった。バイシアナササミー氏は「小売業がECの詐欺に立ち向かうためには、機械学習によるデータ分析が有効だ」と述べる。
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