約300億円の光熱費を削減 AWS活用企業の「データ駆動型省エネ策」とは?:二酸化炭素排出量の削減に「AWS」を生かす【前編】
Carbon Lighthouseは、二酸化炭素排出量を削減しながら光熱費を節約できるよう、商業用不動産の所有者を支援する。同社の事業の鍵となっているのが、不動産から得られるセンサーデータのリアルタイム分析だ。
サンフランシスコを拠点とし、環境保護に関する事業を手掛けるCarbon Lighthouseは、Amazon Web Services(AWS)のデータ分析システムを利用して、気候変動と戦っている。Carbon Lighthouseは商工業ビルが生み出す二酸化炭素排出量を削減し、気候変動を防止することを使命として2009年に設立された。同社は省エネルギーの支援サービスを提供している。商工業ビルの所有者はCarbon Lighthouseのサービスを利用することで、エネルギーの消費量とエネルギー消費に伴う二酸化炭素排出量を減らしやすくなる。
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米国の環境保護庁によると、米国の二酸化炭素排出量は、輸送よりも商業不動産や工業不動産、住宅不動産の運営の方が大きい割合を占めている。輸送が占める二酸化炭素排出量の割合は全体の29%にすぎない。これに対し商業不動産と工業不動産、住宅不動産に農業を加えた割合は合わせて68%にもなる。
「光熱費約300億円削減」の仕組みとは 鍵は「センサーデータ」
Carbon Lighthouseで代表兼製品責任者を務めるブレンデン・ミルスタイン氏によると、同社は現在までに、18カ所の発電所が生み出すエネルギーに相当する26万メートルトンの二酸化炭素排出量を削減すると同時に、同社の顧客企業に2億5000万ドル(約270億円)の光熱費削減をもたらしている。二酸化炭素排出量とコストの削減を同時に実現するには、データ分析が鍵となる。
二酸化炭素排出量の削減方法と、その結果得られるコスト削減効果を計算するためにCarbon Lighthouseが開発したのが、「CLUES」(Carbon Lighthouse Unified Engineering System)というデータ分析ソフトウェアだ。CLUESは顧客企業の不動産に取り付けたセンサー(エッジ)から気温やエネルギーの利用状況などのデータをリアルタイムに収集し、1億平方フィート(約930万平方メートル)を超える顧客企業の商業用不動産や工業用不動産を分析する。データの収集には拡張知能技術を、洞察の提供には機械学習技術を使用する。
Carbon LighthouseはCLUESの構築にAWSのクラウドサービス群を利用している。中編はCLUESの特徴を説明する。
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