新入社員への「入社祝いボーナス」がもたらす“侮れない効果”:“大退職時代”の人材維持・獲得策【前編】
組織は人材雇用の難しさと、従業員の定着を課題としている。そうした中、従業員に入社時一時金であるサインオンボーナスの支払いをする自治体や企業が現れ始めた。その効果は。
米ミズーリ州のセントルイス市では、ごみ収集車の重機オペレーターが不足している。市当局は、重機オペレーターに3000ドルのサインオンボーナス(入社一時金)を支給するという広告を出した。
「入社祝いボーナス」の侮れない効果
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雇用を確保するために金銭的なインセンティブを提供するのは、セントルイス市に限ったことではない。人事・財務に詳しいコンサルティング会社Willis Towers Watsonが2020年9月に実施した調査(米国企業の代表者705人が回答)によると、サインオンボーナスの提供を既に開始済み、または検討中だとの回答は3分の2に達した。
サインオンボーナスは効果があるのか。少なくともセントルイス市では、雇用時にインセンティブを提供することが、人材の雇用と維持の助けとなっている。同市のティシャウラ・ジョーンズ市長の報道官であるニック・ダン氏は、「応募者数が増えてきている」と話す。ごみ処理部門をフル稼働に戻すために、職を用意しているという。
ディスカウントストアチェーンのDollar Tree Storesは、倉庫で働く従業員にサインオンボーナスを支給している。同社では求人の応募者数が不足したことで、物流センターから店舗への商品輸送や物流センターの運営に悪影響が出ていた。Dollar TreeのCEO(最高経営責任者)、マイケル・ウィティンスキー氏は、人材の雇用と維持に向けて一部賃金の値上げや授業料の払い戻しをしたと説明する。
“大退職時代”といわれる中、米国の雇用主は人材の雇用と維持に苦慮している。米国労働省によると、2021年8月の求人件数は1000万人を超えた。
中編は、サインオンボーナス以外にもある、人材採用難を解決するために人気の金銭的インセンティブを紹介する。
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