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「ホワイトボックスネットワーク」の光と影 痛い目に遭わないためには導入すべきか「ホワイトボックスネットワーク」【前編】

特定ベンダーの製品に依存しない「ホワイトボックスネットワーク」が注目を集めている。企業にとって採用するメリットが豊富である一方、知っておくべきデメリットもある。両方を整理してみた。

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 近年、企業が構築するネットワークは複雑化している。滞りなくアプリケーションが使える高速通信を実現するためには、大容量データ送信に適したルーターやスイッチのさまざまなネットワーク要件を満たす必要がある。ネットワークの技術革新が進む中、企業はネットワークの構築にとどまらず、運用の仕方も見直さなければならない。

OSの選択は自由だが……ホワイトボックス導入のハードルは何か?

 ネットワークの複雑さを解消する方法の一つが、特定のベンダーが提供する製品に依存せず、「ホワイトボックス」(ノーブランドの製品)のネットワーク機器を使う「ホワイトボックスネットワーク」の導入だ。ネットワークのハードウェアとソフトウェアは、基本的には単一ベンダーがパッケージ化して販売している。企業はそのパッケージを導入すれば、ほとんどの場合、ネットワークOS(NOS)を購入しなくてもよい。

 ホワイトボックスネットワークが新しいのは、ハードウェアとソフトウェアを切り離すことだ。企業は、ホワイトボックススイッチを使いネットワークを構築すれば、NOSを自由に選択できるようになる。NOSはハードウェアとは別に販売されているため、必ずしも同じベンダーのものである必要はない。

 こうしたメリットから今後、企業の間でホワイトボックスネットワークが普及する可能性が高い。ただし、現時点では積極的にホワイトボックスネットワークを導入している企業はまだ少数だ。業界アナリストはその原因として、移行作業の煩雑さやNOS選択の難しさを挙げている。

 調査会社IDCでネットワークインフラ部門のグループバイスプレジデントを務めるロヒト・メーラ氏によると、ホワイトボックススイッチはパッケージ製品と違い、ソフトウェアがプリインストールされていない。そのため、企業はまずどのようなNOSを使用できるかを調べる必要があるという。「NOSを選んだ後はネットワークポリシーやセキュリティの設定といった作業も発生し、IT部門の負荷が高まる」とメーラ氏は指摘する。

 一般企業に先駆けてホワイトボックスネットワークを採用しているのは、Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftなどの大手クラウドベンダーだ。こうした企業は技術者のリソースが豊富なため、煩雑な作業にも対処できる。メーラ氏は今後、一般企業の間でもホワイトボックスネットワークの普及が少しずつ進むとみている。


 中編は、落とし穴になりがちな、ホワイトボックスネットワークのコストを考える。

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