「5G」データが爆速で拡大 これが世界に突きつける問題とは?:モバイル用途、大容量データが急増
「5G」サービスの売上高は増加の一途をたどっている。将来的にこのまま5Gの利用が増え続けると、ある問題が生じる。調査によって見えた5G分野の見通しと、事業者が引き受けるべき問題とは。
「5G」(第5世代移動通信システム)が生み出す売上高は、2021年から2026年の5年間で急速に増加することが調査会社Juniper Researchのレポートによって分かった。利用者の増加が見込まれることに伴い、5Gサービスを提供する事業者は売上高を高めるための難題に直面する。
2026年までの5年間で5G市場は急拡大――喜ぶだけでは済まされない問題とは
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Juniper Researchが2021年8月に発行したレポート「5G Monetisation: Business Models, Strategic Recommendations & Market Forecasts 2021-2026」は、5Gの主要市場において求められる戦略、市場をけん引する要因、技術的な課題などを指摘している。レポートは5Gの主要市場として下記の分野を想定する。
- モバイルコマース
- モバイルゲーム
- モバイルエンターテインメント
- モノのインターネット(IoT)
- コネクテッドカー
- 固定無線アクセス(FWA)
- リモートヘルスケアサービス
- スマートシティー
- スマートホーム
5G市場はこれからどのようにして急拡大し、それによってどのような問題が生じるのかをレポートは解説している。
2021年から2026年までの5年間で、5G市場は急成長する。世界の5Gの市場規模は2020年に約200億ドルだったが、2021年末には730億ドルに達し、2026年には6000億ドルを超えるとレポートは予測する。5G関連サービスの事業者は投資からのリターンを追及しており、2021年末までにそうした事業者の売上高の8.5%ほどを5G関連が占めるようになるという。
特に5Gが促進するのは、モバイルゲームや没入型の仮想現実(VR)などの分野だ。こうしたサービスは、2021年から2026年までの5年間で、5Gサービスの提供エリア拡大や対応デバイスの増加に合わせて急増する可能性がある。一方で5Gサービスの事業者は、その要求を満たすネットワークを準備しなければならない。
5Gサービスの利用が増えるのに伴い、レポートは事業者にある提言をしている。その一つが5Gのコアネットワークの仮想化だ。これによって事業者は、5Gによるトラフィック(ネットワークを流れるデータ量)増加で生じるネットワークの負荷を軽減できるとレポートは指摘している。
モバイル通信のデータ量の増加は、事業者が直面する大きな課題だ。レポートによれば、5Gに接続する携帯電話が生み出すデータ量は、2026年に世界で約150万P(ペタ)Bになる。特に大量のデータを生み出す4K(4000×2000ピクセル前後の解像度)動画のストリーミング再生時間は、2026年に世界で合計2億1400万時間になる。
こうして携帯電話による5G通信が増加することに伴い、事業者はトラフィック混雑を解消する対策を打たなくてはならない。例えばレポートは、下記の対策を推奨している。
- ネットワーク仮想化
- ネットワークのオーケストレーション(自動化)
- 光ファイバーを使ったバックホール(基幹ネットワーク)の構築
レポートを執筆したデーブ・ボウイ氏は、特にオーケストレーションが重要だと指摘する。「5Gの用途が変化していく中で利用者の要求を満たすサービスを提供するには、ネットワークのリアルタイム管理を可能にするオーケストレーションツールが極めて重要になる。これにより、ネットワーク事業者は5Gサービスの売上高を最大限に高めることができる」(ボウイ氏)
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