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保険会社が「マスターデータ管理」(MDM)にあらためて熱視線の“謎”保険会社がMDMを活用するベストプラクティス【前編】

「MDM」(マスターデータ管理)の価値をあらためて見直す動きが、保険会社の間で広がりつつある。保険会社はMDMに何を期待しているのか。導入成功のためには何をすればよいのか。

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 保険会社が、自社を成功に導く要因や顧客を理解するには「マスターデータ」が欠かせない。マスターデータは、人、物、金といった企業資産を示す基礎データだ。さまざまな部門がマスターデータを個別に蓄積し、他の部門と共有していなければ、データの効率的かつ効果的な活用は難しくなる。そうした中、保険会社は社内システム全体のマスターデータを統合管理する「マスターデータ管理」(MDM:Master Data Management)の価値を再考し始めている。

保険会社が「マスターデータ管理」に熱視線の“謎”

 MDMはマスターデータを全社的に統合管理し、円滑な業務の遂行や意思決定を支援する。本格的な投資と本腰を入れた取り組みが、MDMの導入を成功させるための鍵になる。

 IT部門や事業部門が、マスターデータの統一性や正確性を確保する上でMDMが役立つ。MDMは、企業が保有する全てのマスターデータを統合管理し、各システムが扱うマスターデータの整合性を取る。

 調査会社Gartnerでシニアディレクターアナリストを務めるマルコム・ホーカー氏は、企業が注力すべき取り組みの例として

  • DX(デジタルトランスフォーメーション)
  • 優れたCX(顧客体験)の提供
  • サービス運用の俊敏性
  • サービス改善への注力

を挙げる。「これらの取り組みにはMDMで統制したマスターデータが必要だ」とホーカー氏は述べる。MDMによるマスターデータの一元管理を通じて、企業はより俊敏に業務を遂行したり、顧客サービスの改善に必要な知見を得たりしやすくなる。

 品質の高いマスターデータの蓄積がMDMの鍵となる。保険会社のサービス運用担当者は、マスターデータの正確性を頼りにする。データ分析企業APEX Analytixの市場および製品戦略部門シニアバイスプレジデントであるダニー・トンプソン氏によると、信頼できる顧客マスターデータと代理店マスターデータは、エンドツーエンド(顧客同士のやりとり)のプロセスを支える。具体的にはどの取引先と協業するのか、どのように取引をするのか、いつどのような方法で支払いを受けるのか、といった判断の基となる。

 単にMDMに投資しただけでは、メリットが得られる保証はない。保険会社がMDMを導入して成功を収めるには、数々の計画と準備が必要だ。MDMを軸として事業計画の方向性を定めるとよい。

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