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「マスターデータ管理」(MDM)に保険会社が失敗しないための“やることリスト”保険会社がMDMを活用するベストプラクティス【後編】

「MDM」(マスターデータ管理)は、導入しただけで企業にメリットをもたらすものではない。MDMの価値を引き出すために、保険会社は何に取り組めばよいのか。専門家の見解を基に解説する。

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 人、物、金といった企業資産を示す基礎データである「マスターデータ」。それを全社的に統合管理する「マスターデータ管理」(MDM:Master Data Management)に、保険会社があらためて価値を見いだしつつある。MDMは不正行為の抑制、重複支払いの回避、支出分析、業務効率化に役立つ。

保険会社が「マスターデータ管理」(MDM)を最大限に生かすには

 MDMの導入成功には

  • 経営陣による有意義かつ長期的な支援
  • 予想される結果の定量化
  • データガバナンスへの注力

が欠かせない。これらのいずれが不足しても、MDMへの投資による成果を得られる見込みは薄くなる。

 保険会社はMDMに適切な金額を投資し、実現可能な目標を定めることで成果を得やすくなる。データ分析企業APEX Analytix(apexanalytixの名称で事業展開)の市場および製品戦略部門シニアバイスプレジデントであるダニー・トンプソン氏は、保険会社がMDM導入に際して実施すべき項目を挙げる。

  1. 自社の代理店や顧客が登録したマスターデータが適切かどうかを判断するために、信頼できる正しいマスターデータと比較する
  2. 問題のあるマスターデータを修正する
  3. 追加するマスターデータ全てが完全かつ正確になるようにする
  4. 代理店が登録したマスターデータを継続的に監視して、仕入れ先の変更や規制、不正行為に伴うリスクがないかどうかを確認する

 保険会社がMDMを利用することで、顧客への保険金支払いプロセスに要する時間を短縮しやすくなる。代理店と最適な関係性を築いたり、顧客満足度を向上させたりする効果も期待できる。

 調査会社Gartnerでシニアディレクターアナリストを務めるマルコム・ホーカー氏によると、保険金請求に関するデータを効果的に活用することは、保険会社にとって良い効果をもたらす。「特に保険会社と、保険金を請求する当事者の関係の全容を保険会社が理解することには大きな効果がある」と、ホーカー氏は述べる。

 MDMを通じて、保険会社が収集した全マスターデータを一元管理できるようになれば、保険会社が代理店や顧客とやりとりする重要かつ詳細な情報を探しやすくなる。保険金請求プロセスの自動化を推し進めたり、ビジネスにおける当事者同士の関係性の全容を示したり、保険金請求の申請作業を容易にしたりすることにもMDMは役立つ。

 保険会社が顧客とより簡単かつ迅速にコミュニケーションできるようになると、顧客体験も向上する。「保険会社は会社規模を問わず、競争上の優位性を得るためにMDMを活用するようになる」というのがGartnerの予測だ。

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