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オミクロン流行でオフィス復帰を断念した企業、従業員の不安に寄り添う「助言」とは終わらないコロナ禍、企業が考えるべき人材管理の備え【前編】

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の流行によって、オフィス復帰を延期した企業がある。いつオフィス勤務を再開できるのか先の読めない状況で、リーダーシップ戦略の専門家が重視する「助言」とは。

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 保険サービスを手掛けるHartford Financial Services Groupは、2021年12月に経営幹部のオフィスワークを再開する計画を立てていた。だが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株であるオミクロン株流行の影響で、計画を延期した。

 今回の決定は「慎重を期すためだ」と、Hartford Financial Services Groupの広報担当者マシュー・スターデバント氏は説明する。2021年12月時点ではまだ科学者と医療の専門家がオミクロン株の実態把握に取り組んでいる段階だったため、「当社は経営幹部のオフィスワークの再開を延期することにした」とスターデバント氏は話す。

先行き不透明な状況でつらいのは「労働者」 企業はどうする

 Hartford Financial Services Groupと同様に、2022年初頭にオフィスワークを再開しようと考える企業は、オフィスワークの再開を延期する前に「オミクロン株について、さらに詳しく知りたいと考えている」と、経営コンサルティング企業Kearneyでリーダーシップ、変革、組織運営を担当するプリンシパルのキム・フルトン氏は話す。「大半の企業がオミクロン株の感染経路とこの変異株に対するワクチンの効果を詳しく知りたがっている」(フルトン氏)

 今の状況では、SARS-CoV-2の変異株が現れるたびにオフィス復帰計画の先行きが不透明になる可能性がある。Neuroleadership Instituteの共同設立者で最高経営責任者(CEO)のデビッド・ロック氏は、このような状況は「労働者にとって厳しいものだ」と指摘する。Neuroleadership Instituteは、リーダーシップ戦略に関するアドバイスを企業に提供するコンサルティング企業だ。

 「脳は“確実さ”を切望する。われわれは空腹時に食べ物を欲するように、計画の確実さを欲する」とロック氏は話す。パンデミック(世界的大流行)の発生後に得た大きな教訓として同氏は、「われわれが考えているよりも、人間にとっては確実性が重要だということが分かった」と説明する。

 「あと2年は自宅で仕事をすることになると想像してみる」「生産性を確実に高めるために、これから何に投資すべきか考える」。確実性が必要となる今の状況では、この2つのアクションが管理職にとって最も良い助言になる可能性がある。


 後編は、従業員のワクチン接種義務化が起こり得る米国で、人事部門が担当する可能性のある管理業務について考察する。

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