AIとRPAの今後【前編】
新型コロナで「RPA」導入が加速する理由 逆境の旅行業界の“救世主”に
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、企業は従業員の解雇やオフィスの一時閉鎖を余儀なくされている。一方で存在感を高めているのが「RPA」をはじめとする業務自動化技術だ。それはなぜか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、かなりの数の従業員が解雇または自宅待機となっている。いまだに事業を続けている企業は無数の在宅勤務従業員を抱えている。こうした現実がある中で、企業にとってAI(人工知能)技術とRPA(ロボティックプロセスオートメーション)は、急速に不可欠なものになっている。
業務自動化が旅行業界を救う
AI技術やRPAといった技術は、企業がワークフローを自動化し、従業員がより複雑で重要なタスクに取り組むことを可能にする。企業の労働力削減にも寄与する。ベンダーやアナリストは、企業がパンデミック(感染症の世界的な大流行)後もAI技術とRPAを引き続き、より高レベルで使用すると見込んでいる。
調査会社のCCS Insightで企業調査担当バイスプレジデントを務めるニック・マッキーア氏は「現在の危機によりAI技術が再び脚光を浴びることになったのは明らかだ」と語る。「私が見聞きしている範囲では、経費節減も進んでいる」とマッキーア氏は指摘。明確な結果とそれに付随するビジネス価値指標を用いて迅速に実装できるプロジェクト、特にパンデミックに照らして今すぐに実際のビジネス問題を解決するプロジェクトが優先されていると説明する。
業務自動化の新興ベンダーTonkeanは、そこにいち早く目を付けた。「不運にも新型コロナウイルス感染症の問題は、直ちに対処することがいかに重要であるかを実際に示している」と、同社のCEO兼共同創設者であるサギ・エリヤフ氏は言う。
Tonkeanはドラッグアンドドロップで業務自動化を実現するツールを販売している。同社のツールを使うことで、企業は見込み客の管理やカスタマーサポートチケットのインテリジェントな処理、会議の自動スケジュールなど、さまざまな業務を自動化できる。
特に航空会社や旅行代理店にとって、パンデミックの影響は深刻化している。ウイルス感染を避けるために人々が外出を自粛し、飛行機を利用する旅行者が激減したためだ。一方で、これらの企業では旅行者からの問い合わせの電話やオンラインでの質問が急増しているという現実もある。
エリヤフ氏によると、旅行業界の企業は自社の従業員を解雇または自宅待機させつつ、急増する通話に対処するために、RPAなどの業務自動化ツールの使用機会が広がり始めている。「幾つかの企業では、Tonkeanのツールを使用し始めてから1時間以内に、複数の質問を自動的に処理するワークフローを見いだしている」と同氏は語る。
旅行会社や航空会社はTonkeanのツールを使用して、着信メッセージを適切なサポートシステムまたは従業員に自動的に転送し、旅行者の問い合わせに対する回答を素早く用意できる。RPAなどの業務自動化ツールにより、企業はプロセスを迅速に変更し、新しい現実に適応しているのだ。
今後の展望
AI技術やRPAへの投資は当面増え続けるというのがエリヤフ氏の見方だ。「自動化されたプロセスの大部分はパンデミック後も残るだろう。これが広範囲に及ぶという意味合いだ」(エリヤフ氏)
CirconusはITインフラの監視とIoT(モノのインターネット)分析のためのマシンデータインテリジェンスベンダーだ。同社のCEOであるボブ・モール氏は、AI技術とさまざまな形のソフトウェア自動化がブームになると予想している。ワークフローの混乱に対処するために、AI技術とRPAを使用する動きが企業の間で広がっている。パンデミックの影響がビジネスの在り方をがらりと変えてしまう可能性もある。
モール氏はAI技術とRPAについて「デジタル時代への準備を進めてきた人々は、これを好機だと捉える」と考えている。例えばサプライチェーンは、パンデミックによって世界中の工場や実店舗が閉鎖されたことで著しく混乱している。サプライチェーンからリスクを取り除くにはどうすればよいか。その答えが自律運転であり自律労働だ。
「企業は今、AI技術とRPAに目を向けている。そして現在のパンデミックが終息しても次のパンデミックが発生した場合のリスクを軽減するために、それらを使い続ける」とモール氏は語る。
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