佐世保中央病院が他のクラウドではなく「OCI」を選んだ訳:医療ITニュースフラッシュ
慶應義塾大学病院や佐世保中央病院といった医療機関のクラウドサービス導入事例や、オンライン診療に関する調査結果など、医療ITに関する主要なニュースを紹介する。
医療機関はどのような視点でIT製品/サービスを選定しているのか。ITを使ってどのような医療を実現し、患者にどのようなメリットをもたらそうとしているのか。大学病院をはじめとする複数の医療機関のクラウドサービス導入事例や、オンライン診療に関する患者の利用意向調査の結果など、医療ITに関する主要なニュースを取り上げる。
兵庫医科大学がCOVID-19患者の受け入れにTISのクラウド活用
兵庫医科大学ささやま医療センター(兵庫県丹波篠山市)は、患者本人が自身の医療情報を基に健康管理するための仕組みづくりに取り組んでいる。従来の患者情報共有ツールは医療従事者間の情報共有を想定しており、患者はツールを利用できなかった。ツールで健康情報を利用する際、患者の同意を紙で取る必要があり、手間がかかる点も問題だった。TISのクラウド型地域医療連携サービス「ヘルスケアパスポート」の導入では、患者がスマートフォンアプリケーションを使って自身の医療情報を確認したり、健康情報の利用に同意したりできる点を評価した。導入後は自宅療養中のCOVID-19患者がアプリケーションに体温や体調などの情報を入力することで、保健所や病院とリモートで健康状態を共有できるようになった。(発表:TIS<2021年12月9日>)
佐世保中央病院がデータ分析システムをクラウド移行 「OCI」を選んだ理由は
社会医療法人財団の白十字会は、佐世保中央病院(長崎県佐世保市)などの複数の病院や有料老人ホームを運営している。同財団はデータ分析システムをOracleのデータベース製品「Oracle Database」やオンプレミスの物理サーバで構築していた。新病院の開院で患者が増加することに伴うデータ量の増加が課題となっていたことから、Oracleのクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)へのデータ分析システムの移行を決定。Oracle DatabaseからOCIのデータベースサービス「Oracle Database Service」への移行が、ソースコードを大きく変更することなく実施できる点を評価した。OCIの利用料金が使用時間と構成に基づくため、データ量が増加しても利用料金が抑えられる点も採用を後押しした。(発表:クロスキャット<2021年12月22日>)
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横浜市立大学附属病院が転院調整業務に「CAREBOOK」を採用 その効果と課題は
3Sunnyの転院調整支援システム「CAREBOOK」は、転院を依頼する病院と転院を受ける病院の間で、転院の打診や必要書類のやりとりをオンラインで実施できるようにするサービス。横浜市立大学附属病院(横浜市金沢区)と同市民総合医療センター(同南区)は従来、転院先候補となる医療機関に電話とファクシミリ(FAX)で個別に交渉や連絡をしており、転院調整業務に時間がかかることが課題となっていた。CAREBOOK導入の結果、複数の病院へ同時に転院打診が可能になり、患者の転院先の選択肢が広がったという。転院先候補の医療機関にもCAREBOOKを利用してもらう必要があるため、今後導入を促す考えだ。(発表:横浜市立大学<2021年12月15日>)
慶應義塾大学病院が患者の血糖値データを一元管理するために取った方法とは
慶應義塾大学病院(新宿区)の糖尿病・肥満症外来は、患者が自身で血糖値や体重などを記録して医師と共有するためのシステム「拡充型血糖クラウド管理システム」を利用している。同システムは、主に中部電力のクラウドサービス「中電クラウド」と、メディカルデータカードの医療データ管理サービス「MeDaCa」から成る。同院と中部電力は複数の血糖値計測器メーカーと拡充型血糖クラウド管理システムのデータ連携に着手。測定器で取得した血糖値データを同システムに自動転送できるようにすることで、患者が血糖値を手入力する手間をなくした。患者ごとに異なるメーカーの測定器を利用しているため、従来医師は患者が利用する機器ごとに別々のシステムにログインする必要があった。データ連携後、医師は患者の血糖値データを同システムから確認できるようになった。(発表:慶應義塾大学病院、中部電力、LifeScan Japan、アークレイマーケティング、三和化学研究所、メディカルデータカード<2022年1月27日>)
患者は「キャッシュレス決済」「オンライン診療」についてどう考えているのか? MMDLaboが調査
医療機関や調剤薬局でのキャッシュレス決済を可能にしてほしいと思うかどうか聞いたところ、「そう思う」が51.6%、「ややそう思う」が25.9%だった。オンライン診療の認知度を尋ねる設問では「現在利用している」が5.4%で2020年度調査から1.5ポイント増加し、「過去に利用していた」が2.4%で2020年度調査から0.2ポイント増加した。「オンライン診療を今まで利用したことはないが利用したいと思う」が18.2%で2020年度調査から0.4ポイント増加し、「オンライン診療を今まで利用したことはないし利用したいと思わない」が20.2%で、2020年度調査から10.8ポイント増加した。同調査はインターネットリサーチ会社のMMDLaboが2021年11月に実施したアンケート調査で、20歳〜69歳の男女8661人が回答した。(発表:MMDLabo<2021年12月16日>)
歯科医院向けのクラウド歯科業務支援システム「Dentis」をメドレーが提供開始
「Dentis」は、「治療」から「予防」中心の歯科医療への移行を促すことをコンセプトとしたクラウドサービス。電子カルテやレセプト(診療報酬明細書)機能に加え、予約受付管理機能やWeb予約・問診機能など、患者が診療を受けやすくするための機能を備える。Webブラウザで利用でき、歯科ユニット(診療用座席)の利用状況やスタッフの稼働状況、患者情報を直観的に把握できるユーザーインタフェースになっているという。予約受付情報と患者情報の管理機能が中心の「かかりつけ支援プラン」が1施設につき月額1万円(以下、税別)で、電子カルテやレセプト機能などの全ての機能が利用できる「トータル支援プラン」が月額3万5000円。別途初期導入費用がかかる。(発表:メドレー<2022年1月20日>)
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