VMwareユーザーが「脱クラウド」せざるを得なくなる理由:「VMware Cloud on AWSで“クラウド破産”」の傾向と対策【前編】
クラウドサービスは利用料金が高額になることがある。高額な利用料金をきっかけとした「脱クラウド」を避ける方法と、脱クラウドせざるを得なくなった場合のスムーズなオンプレミス移行のポイントを説明する。
クラウドベンダー大手は、VMware製品で構築した仮想マシン(VM)をクラウドサービスで実行するサービス(以下、VMware製品実行サービス)を提供している。Amazon Web Services(AWS)の「VMware Cloud on AWS」やMicrosoftの「Azure VMware Solution」、Googleの「Google Cloud VMware Engine」などだ。
例えばVMwareとAmazon Web Services(AWS)が共同開発したVMware Cloud on AWSを使えば、VMware製品のユーザー企業はオンプレミスインフラでAWSのサービスと機能を運用・利用できるようになる。VMwareとAWSは徹底的な検証によって、オンプレミスインフラのVMware製品とVMware Cloud on AWSの機能の整合性を確保している。
オンプレミスインフラで稼働するVMware製品と、VMware製品実行サービスで稼働するVMware製品の技術的な違いは最小限に抑えられている。ただしコストには大きな違いがある。
「クラウド破産」がVMwareユーザーの脱クラウドを招く
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既に使っているVMware製品とクラウドサービスを組み合わせて利用できるという特性から、IT管理者や経営陣がVMware製品実行サービスをオンプレミスインフラと同じように扱ってしまう場合がある。このような扱い方はコストの問題が生じかねない。クラウドサービスは限りなく規模を拡張できるが、ユーザー企業の予算には限りがあるからだ。
クラウドサービスへの移行を果たしたものの、利用料金が予算を超過し、クラウドサービスにある全てまたは一部のデータをオンプレミスインフラに戻す「脱クラウド」を余儀なくされている企業がある。しかし脱クラウドは、オンプレミスインフラからクラウドサービスへの移行と同じくらい時間とコストがかかる。
導入前にクラウドサービスの利用料金を正しい計算方法で見積もることができたとしても、その料金でずっと利用できるとは限らない。クラウドサービスの機能拡張やベンダーの経営方針の変化に影響を受け、クラウドサービスの利用料金が短期間で上昇する可能性は十分にある。
動かすアプリケーションや保存するデータが増加すれば、クラウドサービスのコストも増加することが一般的だ。クラウドサービスの規模拡張やデータ量の増加のペースが緩やかなために、クラウドコスト管理サービスの警告システムが作動しないことがある。
後編は脱クラウドを進める上でのポイントを解説する。
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